平日と休日、昼と夜。 電力需要のギャップに着目

 東京電力の2007年のレポート「今夏の気温ならびに最大電力の推移」というグラフがある(こちらのPDFファイルの2ページ目を参照いただきたい)。それによると、平日と土日祝日との最大電力の比較は、7、8月で500万~1000万キロワットくらいの差がある。

 自工会も今夏の電力について「平日のピーク需要約5800万Kwに対して、土日は約4800万Kw、夏期休暇時には4400万Kw~4200万Kwと、平日と休暇時の電力需要には大きなギャップあり」としている。 企業の休日が土日に集中することで、平日と休日の間では電力需要にギャップが生じているのである。

 ならばこの夏だけ、土日を営業日にして、平日を休みにしてはどうか。さらに「○○業界は木・金休み」「△△業界は月・火休み」というように、平日の休みも業界ごとに分散させる。  そうすれば土日も含めて電力需要が平均化され、平日のピーク需要を下げられる。従来の営業時間を短縮することなく、大規模な節電が可能になるのだ。自動車工場のみならず、一般のオフィスでも実施されれば、効果はより大きくなる。
自工会によるシミュレーション結果では、輪番休日で15%強のピーク抑制効果が見込めるとのことだ。これを他業界、一般オフィスにも導入すれば、さらなる抑制効果が期待できる。

 さらに「土日営業・平日休み」は、企業マネジメント的にもマイナス要素が少ないため、経営者にとっても採用しやすい。土日出勤の振休として平日を休みにすると考えれば、休日出勤扱いとはならない(そのあたりは労基法に抵触しないように就業規則を改定する必要があるだろう)。

 そしてこの対策も、各企業の足並みを揃えることが重要だ。

各自バラバラに休日を設定するよりも、業界ごとに「いっせいのせ!」でまとまって休日を設けたほうが、節電効果ははるかに高い。 

 業界ごとと言ったのは、たとえば全企業が月・火休業にしてしまっては、土日から「スライドさせる」意味がなくなってしまう。問題解決にならない。であれば、業界ごとにいくつかにグループ分けして、「A業界グループは○曜休み。B業界グループは△曜休み……」と決めてしまえばいい。

 要するに「輪番休業」「計画休業」だ。

 自工会の提案も同じである。こうした業界をあげての「計画休業」の取り組みは歓迎すべきで、これこそ国が音頭を取り、強制力を発揮して推進すべき方策だとも言えよう。