昔の手帳を読み返して
自分の成長を確認する

奥野:一家を支える立場としても、会社員としても、佐々木さんはこれまでものすごいご苦労された体験をお持ちだと思いますが、それらすべてのマイナスをプラスに変えたのは、まさに「記録の力」なんですよね。

佐々木常夫・著『働く君に贈る25の言葉』(WAVE出版)。記録の力についての記述も多い。

佐々木:そうですね。毎年記録していたこの手帳は、もう20数冊になりますけど、いつもすぐそばに置いてありますよ。

奥野:20数年分の歴史ですね。今使っている手帳は読み返されたりするということでしたが、やる気を高めるために、何年の前の手帳を引っ張り出して見るといったこともあるのでしょうか?

佐々木:ありますね。人間がすごくモチベーションが上がる時というのは、自分で成長を実感したときなんですね。
例えば、10年前の手帳を見るとね、俺は10年前、こんな程度だったなというのがわかるんですね。ですから、昔の手帳を見返すというのは結構いいことがあるんですよ。

奥野:具体的にどういう進歩を実感されたりしているんでしょうか?


佐々木:10年前に手帳に記録しておいた、いいなあと思った本の感心したフレーズなんかは、改めて見るとなんでこんなものに感動したのかわからないということがありますね。

 

 それは、自分が成長したからそう感じるんだと思うんです。その時は感動ものだと思って書いたつもりが、後から見ると大したことないと気がつくとのは、やっぱり成長した証じゃないですか。

奥野:ちょっと違うかもしれませんが、私も選挙とかがあると、やっぱり感想を書いておくんですよ。民主党が勝ったときも、これで政治はたぶんこうなるみたいなことを書いてるんですが、後で見返すとすごく一過性のもので感動したり、大騒ぎしたりしてるなというのがよくわかります。

 それは、記録していないと決してわからないことですね。自分の軌跡が「見える化」されるというか。