その販売員が接客につくと、いつの間にかお客様が多くのものを買っており、しかもそのお客様もいい買い物をしたという大変な満足を感じているという「カリスマ販売員」がいますね。
一体その販売員は、どういう接客をしているのでしょうか。
4月13日にダイヤモンド社から発売される『売れる販売員は似合わないものを絶対に売らない』から、その秘密に迫っていきます。
第2回の今日は、高い目標予算でも達成する方法をお伝えします。
無茶に高い目標予算でも達成する人の考え方
「去年のこの時期に催事をしていた」
「新店としてオープンしている」
といった理由で、到底達成できそうにない目標売上がついてしまう場合があります。
新人時代に私が配属された店舗には、前年にカリスマ的な売上を誇る販売員がいました。
社内一の圧倒的な売上で店の予算を軽々とクリアしていたのですが、彼女が異動してしまい、高くなったままの予算を残ったスタッフで取るはめになりました。
店の予算をスタッフで割り振ると、いつもの売上の2倍以上になってしまいました。
「どうせ無理だよね……」と私たちはすっかりやる気をなくしてしまい、しばらく予算に対して達成率50%といった低空飛行が続いてしまいました。
このように、予算が高いと「頑張っても仕方がない」とお店全体が諦めてしまうことがあります。
しかし、いきなり高い予算がついてしまっても、目標が達成できるようになる考え方があります。
そのために必要なのは、何よりも現状把握。
自分の現状の売り上げはもちろんのこと、「予算」「その日の目標」など、いくつかの「数」を知ることが売り上げ達成の足掛かりとなります。
予算達成率50%がしばらく続いたある日、エリアマネージャーがやってきて「いいかげん、売上を伸ばさないと」と言われました。
しかし、最初から無理だと決めつけている私たちは消極的。
これはまずいぞと気づいたエリアマネージャーはスタッフを集めることにしました。
スタッフたちに紙とペンを用意させ、マネージャーはいくつかの質問を投げかけました。
「今、自分たちの売上・セット率・客単価はどれくらい?」
「顧客様はどれくらいいる?」
「ファーストアプローチをして、どのくらいの人が話を聞いてくれる?」
それに対し、私たちは次々に答えを書いていきました。
書いていると、意外と答えが出てこないことに驚かされます。
「あれ? 売上はわかるけど、平均のセット率ってどのくらいだっけ?」
「顧客様? 何人だっけ?」
つまり、私達は現状について何も把握できていなかったのです。
続けて、マネージャーは
「予算に対して、売上はいくら足りていない?」
「足りていない予算に対して、自分たちができることは何だと思う?」
というように、質問しました。
「月予算まで60万円だったから、1ヶ月で割ると2万円か」
「2万円だったら、1日にあと2着売れば予算達成していたのか」
「あれ? 意外とがんばれたのかも」
と気づき、スタッフそれぞれにびっくりしました。
そして「予算、とれるかも?」とやる気がむくむくと沸いてきたのです。
その後、一人あと一日2万円とるにはどうしたらいいかをスタッフ同士でディスカッションしあい、ロールプレイングの内容や朝礼で確認することを決めました。
高い予算を目の当たりにすると、どうしても「とれないなら、頑張っても仕方ない」と諦めてしまいがちです。
しかし、現状を把握することができれば、「今何をすればいいか」が分かります。目の前の道をつくってしまうと達成できるようになります。
大きな目標は細かく具体的にして考えてみる。
そうすると、いきなりではなくても少しずつ状況が改善していくはずです。
「数」は何よりも目安になります。数を知ることができれば、今置かれている状況を客観的に知ることができます。