一番気に入らないのは、
人のアイデアを押し付けること

 何が一番気に入らないかというと、「相手の言っていることが正しくて、そのアイデアをとると成功するとわかっていても、人のアイデアを押しつけられること」なのです。

 相手に自分が言ったと、いかに思ってもらうかがポイントです。

その形にもっていければ、話は丸くおさまるのです。

 納得できるかどうかは、「正しいか正しくないかではなくて、自分から出たんだという実感」なのです。

 先生が生徒に、上司が部下に教える時、先生や上司が「答え」を言ってはいけないのです。

 95%までヒントを与えて、最後の答えは部下から出せばいいのです。

 テレビやラジオの番組で、「誰でもわかる3択問題」というのがあります。

 それと同じです。

 間違えようのない3択問題だったとしても、人は自分の中から正解が出ると嬉しい。

 教えるのではなく、気づきを自分の口から話させるようにするといいのです。

 私が中谷塾で話をする時も、同じようにやっています。

 自分の中から出てきたものが、一番信じられるのです。

 自分の中にあったと錯覚できた時が一番気持ちがいいのです。

 最後の答えを説得しようとする側が言ってはいけないのです。

 できるだけ踏ん張って、いかに相手に言わせるかが大切です。

 どうしても正反対の意見になってしまうこともあります。

 そんな時は、じわじわ積み上げていって、9割5分まで積み上げて溝を埋めていって、最後残り5分を相手に言ってもらえばいいのです。

 9割5分までいったら、自然と相手から出てくるのです。

 クイズ問題で一番答えたくなるのは、8割方できていて、あとは穴埋めという状態です。

 このような時に、人は一番考えたくなるのです。

 全部気づきが必要となってしまうと、考えようとは思わなくなってしまいます。

 2文字だけ抜けていて、「この2文字は何でしょう」とたずねられると、一番頭に答えが浮かんできやすいのです。

 しかもその問題が簡単そうに見えるというのがポイントです。

 これは、道端や縁日でやっている大道詰め将棋と同じです。

 いかにも簡単そうに見えるから、自分で答えを出したいと思うし、そこで自分で出せた時に大きな快感になるのです。