残り2つの条件は「自動積立」と
「全世界へ投資するもの」

 第五の条件は、「銀行口座から自動積立が可能なもの」です。

 たまに「投資信託は積立ができないものでも、自分で継続的に同額を買い付けていけば、事実上、積立投資になる」とおっしゃる方もいますが、はっきり言ってこの方法は長続きしません。自分の意思で積立をするほど、面倒なことはないからです。

 人間の行動でいちばん難しいことは「継続すること」だといわれます。ダイエットにしろ、積み立て投資にしろ、「一生続ける」というのは、誰にとってもハードルが高いのです。

 たとえば毎月自分で振り込むという手間もさることながら、月によってはお付き合いなどでお金が出ていき、積立投資をする余裕が全くないということもあります。そのような状態の時、自分に厳しく、自らを奮い立たせて積立をすることができるでしょうか。

 恐らく、大概の人は無理です。

 だからこそ、銀行口座などからの自動引落しで、半強制的に積立投資をする環境を作っておく必要があります。

 個人投資家にとって、都合のいい「自動積み立て」ですが、こちらは販売会社によって、積み立てができないところが多くあります。

 そして最後である第六の条件は、「全世界へ分散して投資しているもの」です。

 日本だけ、先進国だけ、新興国だけ、というのでは、上がったときはいいのですが、下がったときには大変です。世界の経済成長に、自分のお金を預けて育ててもらうならば、全世界へと投資する投資信託を選べばいいのです。

 この投資対象に関しては、「自分で組み合わせて」全世界へ投資する方法と、「最初から全世界へ投資している投資信託を選ぶ」方法と、2通りのやり方があります。

 自分でポートフォリオの資産配分比率を決める場合、重要なのはリバランスを行なうことです。複数の投資信託を比較検討し、さらにリバランスまで行うというのは、言うなればオーダーメイドで服を作っているようなものです。自分自身の好み、体型、自分に合うスタイルというものを熟知していなければ、なかなか使いこなせるものではありません。

 それと同じで、自分で分散投資のポートフォリオを構築するのであれば、自分がどんな運用を行いたいのか、何のために資産形成を行うのか、リスクは最大どこまで許容できるのか、といった諸条件を把握しておかないと、なかなか難しいものです。

 大方の人というのは、自分の将来のために資産運用を行う必要があることは理解していても、そのために自分の自由な時間を、必要以上に取られるのは勘弁してもらいたいと思っていらっしゃるのではないでしょうか。

 そういう人はどうすれば良いのか。そう、オーダーメイドの服ではなく、既製服を買えばいいのです。つまり、最初から世界中の株式や債券に分散投資している投資信託を購入するのです。

 これを「国際分散型(バランス型)」というのですが、このタイプの投資信託であれば、株式と債券の組入比率を何パーセントずつにするか、株式と債券はどの国に何パーセントずつ投資するのか、といったことを、すべて専門の投資信託マネジャーが判断して、分散してくれます。

 加えて、一定期間が経過するごとに必要になるリバランスも、すべて行ってくれます。したがって、国際分散型の投資信託を保有しておけば、あとは何もしなくても、勝手に運用をしてくれるのです。これなら、まさに既製服がそうであるように、誰でも簡単に国際分散投資をすることができます。

 以上のように、私が考える長期投資に向いた資産づくりができる投資信託の条件はこの6つです。

 しかし、一体、この、たった6つの条件を満たすことができる投資信託は、2621本中なんと8本しかなかったのです。しかし、逆に考えれば8本からであれば、自分で選べるに違いありません。

 

これでもうだまされない!<br />投資信託を選ぶための6つの視点
中野晴啓(なかの はるひろ)
セゾン投信株式会社 代表取締役社長
公益財団法人セゾン文化財団理事、NPO法人元気な日本を作る会 情報発信局長。1963年東京生まれ。87年明治卒、クレディセゾン入社。セゾングループのファイナンスカンパニーにて資金運用業務に従事後、投資顧問事 業を立ち上げ、グループ資金の運用のほか、外国籍投資信託をはじめとした海外契約資産等の運用アドバイスを手がける。その後、(株)クレディセゾン イン ベストメント事業部長を経て2006年セゾン投信(株)を設立、2007年4月より現職。米バンガード・グループとの提携を実現、現在2本の長期投資型 ファンドを設定、販売会社を介さず資産形成世代を中心に直接販売を行っている。また、全国各地で講演やセミナーを行い、社会を元気にするための活動を続け ている。『運用のプロが教える草食系投資』(共著:日本経済新聞出版社)、『積立王子の毎月5000円からはじめる投資入門』(中経出版)などがある。
セゾン投信 HP http://www.saison-am.co.jp/
個人ツイッター http://twitter.com/halu04

 

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