ルール4
第三者から注意してもらう

 左遷・降格されて不本意ながら年上部下となった人、役職定年・再雇用で年上部下となった人のなかには、自分のやり方に自信をもっていて、年下上司からの注意をどうしても受け入れてくれない人もいます。

 関係がこじれてしまったときなどは、無理して直接やりとりするより、その年上部下と同列か上の立場の人から諭してもらう選択肢もあります。

 あなたの目的は組織を束ねていくことにあります。自分の力だけで解決にこだわる必要はないのです。また、人には相性もあります。メンバー全員と親密な関係を築かなければならないというものではありません。「○○さんにも協力を得ながら、△△さんをケアしよう」と、ときには方の力を抜くことも大切です。

ルール5
叱った後、普通に話しかける

 よく、コーチングを使った部下指導などで、「人格」ではなく「行動」を叱れと言われます。まったくそのとおりなのですが、年下に注意されること自体が屈辱的と考えるタイプにとっては、こちらが「行動」を注意したつもりでも、人格を否定されたように受け取られてしまうことも珍しくありません。

 前出の年下上司の言葉をもうひとつ紹介しましょう。

「叱ったあと、ひと言も話さないで帰ることはしません。叱って終わりではなく。そのあともずっと顔を合わせていくわけですから、関係性を悪くしないための工夫として、『ところであの件ですけど』と必ずふつうの口調で話しかけるようにしています。そのことで『ああ、自分のことが嫌いで叱ったんじゃないんだな』と感じてもらえているようです」

 これと似て非なる対応が、「さっきはすみませんでした」「さっきは言い過ぎました」など、叱ったことや内容について言い訳してしまうことです。

 もちろん、本当に言い過ぎてしまった場合は謝罪が必要ですが、正当な理由で叱ったならばエクスキューズは不要です。下手に言い訳すると、上司としてのメッセージがブレます。「それなら最初から叱らなければいいじゃないか」「ほら、やっぱりオレのほうが正しい」などと、年上部下が増長する一因になってしまいます。

 せっかく勇気を出して叱ったのですから、その効果を半減させないよう気をつけましょう。