「時短」で生産性はあがらない
いわゆる業務改善には2つのタイプがあります。そして、生産性向上はこの2つを押さえるところから始まります。
【タイプ1】処理高速化型
エクセルの技を身につけて集計作業をスピードアップする、標準テンプレートを作って作業を効率化する、トークのスキルを鍛えて短時間でテレアポを取れるようになるなど、作業単位の所要時間を短くするアプローチ。すなわち「時短」です。前述のエクセル研修実施は、このタイプの改善に当てはまります。
ところが、どんなに頑張って時短をしても、業務量が増えたらその効果は一気に吹っ飛んでしまいます。最初の1カ月は残業が減ったものの、2カ月目から結局元に戻ってしまうなんてことも。
また、タイプ1は人のスキル依存になりがち。企業の規模が大きければ大きいほど全社員のスキルアップには時間もお金もかかります。さらに、規模が小さければ、特定の個人に属人化するリスクが高くなります。そこで、もう1つ、別のアプローチが必要になります。
【タイプ2】プロセス見直し型
その作業を含む業務全体のプロセスを俯瞰し、不要な作業をなくしたり、統合したり、順序を入れ替えたりする取り組みです。「ECRSの原則」をご存じでしょうか? 生産管理の現場で用いられている、業務改善の4原則です。
(1)Eliminate 排除する/なくす → その作業をなくせないか?
(2)Combine 統合する → 複数の作業を統合できないか?
(3)Rearrange 順序を変更する → 作業の順序を入れ替え・並行できないか?
(4)Simplify 単純化する → 作業を省略・簡素化できないか?
業務プロセスそのものを疑ってみる。見直す。時間はかかりますが、業務量の増加による労働時間増を抑えることができます。
タイプ1は即効性があり、その時点においての時短効果が目に見えてわかるため安心しがち。しかし、タイプ2にも取り組まなければ生産性はいつまでたっても向上しないのです。