2ちゃんねるとウィキペディアは同じ性格のソーシャルメディア
ソーシャルメディアは場に「求めるもの」の違いで大別されます(下図)。片方には「情報交換」を求める場があり、もう片方には「関係構築」を求める場があります。
2ちゃんねるのような「情報交換」を目的に集まる人々は、便利で有用な情報源を求めます。その場から情報を収集し、ときには自らが情報の提供者になることもあります。
このような共同作業の結果に現れる大きな知識は「集合知」と呼ばれます。このエリアの仲間に入るのは、カカクコムのような比較サイト、ヤフー知恵袋のようなQ&Aサイト、みんなで作る辞書ウィキペディアなどです。
一方、「関係構築」を目的に集まる人々は、気心の知れた仲間たちによって場の雰囲気が醸成される小さな集団を好みます。参加者が20名を超えるあたりから急速に活性が失われ、場が分散したり解散したりする現象も起こります。どうやら、お互いのニックネームやプロフィールを覚え合って、長期間にわたりお互いを配慮し合える空間は20名程度が限界のようです。
この関係構築のエリアに参加する利用者の心情を探るため、私は慶應義塾大学と産学協働の調査を行いました。そこで生々しく語られたのは、「(素の自分を)表現できている」、「仕事のあとにビールを飲むのと同じ感覚(で、自分をリセットする)」といった言葉でした。この、他者を通した自分との語らいの時間が、ある種の「癒し」を提供している点は見逃せません。