社会との隔絶に架かる橋
実名性が高い状態で個人がソーシャルメディアに参加することは、個人に大きな負担をかけます。このような現状を踏まえれば、実名性を高める方向だけでなく、匿名性を維持したまま、社会につながるモデルを考える必要が浮上してきます。
詳しくは次回考察しますが、私はこの問題に対するひとつの解決方法として、企業が社会との隔絶に架かる橋になれるのではないかと考えています。
それでは、企業が匿名性の高い価値観のソーシャルメディアに関わるにはどうしたらよいのでしょうか。
同じ価値観でも、情報交換のエリアは難しいでしょう。情報交換の場では、利便性や有効性が求められ、情報提供を優れて行う者が評価されます。掲示板にしても、比較サイトにしても、そこでは多様な意見をできるだけ冷静に客観化するふるまい以外は受け入れられず、自社を特別視してほしいとアプローチする企業の姿勢は敬遠されます。
こうなってくると企業としては付き合い方が難しい。2ちゃんねるで消費者とつながることが難しいように、情報交換のソーシャルメディアは、企業が踏み込むことを許さない消費者による消費者のための聖域であるといえます。企業が直接関わりをもつことはできない、と潔くあきらめるのが賢明でしょう。
しかし、これが「情報交換」と対極にある「関係構築」のエリアではまったく様相が変わってきます。次回はここを出発点にして議論をしていこうと思います。
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序 章 冒険に旅立つ前に
第1章 見える人と見えない人
第2章 インターネット・クラシックへの旅
第3章 ソーシャルメディアの地図
第4章 企業コミュニティへの招待
第5章 つながることが価値になる・前編
第6章 つながることが価値になる・後編
終 章 希望ある世界