理不尽な要求は「やり過ごす」のも大事

 そして、ふたりはこう早口でまくしたてました。
「これだけ大勢の女性がいるのに、譲るつもりはないの? 私たちがコンペだと言ったらコンペなのよ」

 私は、これ以上揉めていたら同行者にも迷惑がかかると思い、「そうですか、わかりました。私たちはあなた方の後でやりますから、お先にどうぞ」と譲ることにしました。理不尽な要求は「やり過ごす」のも大事。同行者にもそれを説明して了解してもらい、カフェにでも行こうとしたところ、「待ちなさい。あの人たちにもどくように言いなさいよ」と、キャプテンはまたもや顎で日本人グループを指したのです。相手が女性でなければ、私はその失礼な態度に対して叱責していたことでしょう。しかし、冷静にこう諭しました。

「いや、私は彼らのことを知らないんです。知らない人に対して、そんな失礼なことは言えませんよ。私はあなたの話はおかしいと思うけれども、あなたとは議論したくないから、あなたたちのあとでスタートすることにしたんです。あの人たちにどういう権利で、どくように言えると思っているんですか?」

 すると、彼女たちはこう抗議します。
「あなたもあの人たちも、同じジャパニーズじゃないの。ジャパニーズがジャパニーズに言ってどこが悪いの?」

 滅茶苦茶な理屈なので私はカラカラと笑って、「同じ日本人であっても、私はあの人たちを知らないんです。あなたから直接言ったらどうですか?」と突っぱねました。それでも、彼女たちも負けていません。「あなたが知らなくても、同じ日本人だから言いなさいよ!」と物凄い剣幕で食ってかかってきます。もはや議論にもならない状態です。私は何度「言え」と迫られても、「できない」ときっぱり断り、その場から立ち去りました。結局、先行していた日本人グループはそのまますべてのホールを回ったようです。

 おそらく、その女性たちは見知らぬ日本人に対して「どきなさい」という度胸がなかったのでしょう。自分たちが正々堂々と手続きを踏んでいるならそう説明すればいいだけですが、そうではないから後ろめたくて私に言わせようとしたのです。私はあきれるほかありませんでした。