マイホームを建てたあとに寿命を縮めているのは誰か?
建物を建てた後に大切なのは「適切で予防的な点検とメンテナンス」。例えば雨漏りや漏水など、建物に何かあった時にそれを修繕する「対処療法型」と、そのような問題が起きないように予防的な点検と修繕を行うのでは、建物のライフサイクルコストも、寿命も全然違ってくる。
問題が露呈してからの修繕は、とかく後手後手に回り、根本的な解決ができない。たとえば長い間水漏れを放置していたら、その部分の木材や鉄筋が腐るなどして、より大きなお金がかかったり、お金をかけて直したとしても元の性能には戻せないことも。
一方で「予防保全型」の修繕をしておくと、建物が大きくダメージを受ける前にメンテナンスができ、結果的にトータルでかかるお金も少なくて済み、寿命も延びる。たとえば雨漏りの原因は、元はと言えばシーリング材の劣化など、単純な理由によるが多い。
水漏れにしても、配管のずれなどの簡単な理由であることが大半。これらを初期段階で見つけたり、予防的に修繕をしておくことで大事に至らずにすむところ、長らく放置していたために多額のお金と時間がかかることになってしまうケースを、さくら事務所のホームインスペクター(住宅診断士)はこれまでたくさん見てきた。
建物の寿命にも大きな影響が。建築後、全く手を施さなかった建物と、予防的で適切な点検、メンテナンスをしてきた建物とでは、おそらくその寿命が2倍くらい違う。建物の寿命は、実は所有者自らが縮めていることが多いのだ。