活性化した企業コミュニティでは
売上が23%も向上!

 私たちは、12年間にわたり、企業コミュニティの活性を収益に変えるための試行錯誤を行ってきました。実戦で利益をつくれなければ、クライアント各社の満足は得られません。クライアント企業の満足が得られなければ、私たちの会社の売上もない。売上がなければ、オンラインコミュニティ構築の研究費が捻出できないどころか、会社の存続すら危うくなってしまいます。

 企業コミュニティは、本当にクライアント企業の利益につながるのか?

 顧客ネットワークをマネタイズ(収益化)することなど、私たちにできるのだろうか?

 プロジェクトが始まった当時、私を含めたメンバーはみんな、半信半疑でした。とにかく前例がない。参考にできる事例もない。それはまるで砂の上に塔を建てるような気持ちでした。しかし、事業を一本化したことで、私たちの“船”はここを突破する以外に生き残る道がなくなっていました。

 私たちの会社がまだいまよりもずいぶんと小さかったころ。2005年の忘年会のことです。

 私たちは、十数名が入ればいっぱいのイタリア料理店で「今年も生き残ったぞ!」とお互いの功労に拍手を送り合っていました。こんな単なる忘年会ですら感動の共有になるというのが、ベンチャー企業の楽しいところです。

 宴会が始まって間もなく、関西に出張して通信販売のクライアント企業と打ち合わせをしていた仲間から私に電話が入りました。どうやら新幹線のホームにいるらしい。しかしよほど興奮しているのでしょう、早口で何を言っているのか聞きとれません。とにかく落ち着いて話すように伝えました。

 「ふー」と、彼は大げさに呼吸をおき、妙にかしこまった口調で話し出しました。「いいですか? お伝えします」

 「どうぞ」と私。

 「大変な数字が出ました。コミュニティの参加者の直近6ヵ月の購買総額が計測されました」

 息を飲む。一瞬の間。

「なんと、23%の向上です。3000名の平均値で、購買総額が1.23倍に上がりました!」