コメを守るというのなら
自給率より優先すべきことがある
このように具体的な数字に則して考えてみると、TPP反対派の本音は、恐らく自給率の高いコメを守る、という一点に絞られてくるのだろう。その背景には、食料安全保障的な考え方があると思われる。
ところで、外国から食料が入ってこなくなるような非常事態が生じれば、おそらく食料より先に石油や天然ガスが入ってこなくなり、電力もストップしてしまうであろう。仮にコメが潤沢にあったとしても、私たちは、コメをどのようにして食べればいいのだろう。本気で食料の自給率を心配するのであれば、その前にエネルギーの自給率をまず確保しなければならないのではないか。
次に、食料安保を考えるのであれば、自給率よりも農地資源の確保の方がはるかに重要ではないか。ピーク時(1969年)には317万ヘクタールあったわが国の水稲の作付面積は163万ヘクタールへとほぼ半減してしまった。耕地面積もピーク時(1961年)の609万ヘクタール(田は69年の344万ヘクタール、畑は58年の272万ヘクタールがピーク)から459万ヘクタール(田250万ヘクタール、畑210万ヘクタール)へと大きく減少した。とりわけ田地の減少幅が大きい。