学生の研修プログラムから
どのように利益を出すか

 もう1つ、私が立ち上げたグローバル人材育成プログラムの例を出そう。年間1,000人近くの日本の大学生がこのプログラムに参加している。大学生向けのプログラムとしては国内最大規模だ。このプログラムの魅力は、ベトナムに商店やレストランなど複数の店舗を保有している点にある。

 学生は2週間のあいだ、ビジネスやチームビルディングのプロフェッショナルの助けを借り、事業計画を立て、実行し、フィードバックを受ける。保有している店舗を活用できるため、特に資金面の制約が少ない。学生は単なるリサーチに留まらず、ビジネスを実践することができ、多くを学べる。ビジネスを実行する難しさを肌で感じ、顧客からの生きたフィードバックを直接受けることができるのだ。

 ではこのプログラムからどのように利益を生むことができるか。経営の視点で見ると、利益の仕込みと実入りのタイミングが分かれている。つまり、店舗を保有する固定費用が毎月計上されていく一方で、一定数の学生が集まるまでは持ち出しになるリスクを抱えていた。

 このような場合は、顧客獲得コスト、研修講師コスト、店舗変動費、プログラム後の顧客あたりの利益(LTV、第4回を参照)、支払い回収率・期間などを念頭に置きながら利益方程式を組み立てる必要がある。どの時期までに、何人に研修を実施すれば黒字になるのか、実入りを最大化させるためにはどうすればよいかが重要だ。

 実際に利益方程式を作成すると、研修生による店舗売上のインパクトは小さいことがわかる。店舗の収益を改善することよりも、研修プログラムの集客に力を入れるほうが優先順位が高いと判断できる。

ハーバード、オックスフォード、日本の有名私大、本当の収益は授業料でなく◯◯。図3 グローバル人材研修プログラムの利益方程式
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