ファイナンスの定石4
将来のための「資本政策表」をつくる
ファイナンスにおいて必須であるのは、最初のファイナンスの段階から、次のファイナンス(ひいては上場や事業売却などの出口戦略[エグジット])のことを考えることである。なぜなら、一度希薄化した創業者の持ち株比率や、一度ついた企業の評価額はもとに戻らないからである。
エクセルなどを用いて、何回投資を受けるのか、そしてその際に創業者の持ち株比率をどの程度希薄化していくのか、ストックオプションとして将来のメンバーへどの程度株式を分配するのか、などをあらかじめ計画に組み込んでおかなければならない。このような計画を「資本政策表」と呼ぶ。
計画において何より大事なのは、過半数や2/3といった重要な持ち株比率をギリギリまで確保できるよう設計することである(第6回)。また、適切な企業の評価額も重要だ。急に上げすぎると、その後に投資が集まりづらくなったり、事業売却がしづらくなったりする可能性がある。
支配権の保持と、適切な企業の評価額のバランスをとらなければならない。だからこそ資本政策表が必要なのだ。図4に一例を示した。
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