目標を達成しても今までと違う風景が広がっているわけではない

 目標を数値化して一心不乱に頑張る。確かに非難されることではありません。

 ただ、頑張っているときはいいのですが、あとで虚しさに襲われることがあると訴える人たちもいます。

 映画を年間100本観るという目標を掲げた場合、目標を達成すれば今までとはまったく違う風景が開けるに違いないと空想してしまうのです。

「何か目に見える利益を得ることができる」
「自分が生まれ変わったような気持ちになれる」
「周囲から尊敬のまなざしで見られる」

 資格を取ろうと頑張っている人も、資格さえ手にすれば仕事が一気に開けると勘違いしがちです。今までは決して感じられなかった「やりがい」が得られる仕事を任せてもらえると思ってしまうのです。

 実際は資格試験に合格してもお免状を1枚もらって終わりです。

 映画を年間100本観るに至っては、何の見返りもありません。劇的に状況が変わることなどほとんどないのが現実の世界です。

 私の知り合いは、仕事をしながら夜間の大学院に2年間通って、大変な思いをしてMBAを取得しました。周囲は驚嘆してくれたといいます。しかしそれも長くは続かず、結局は何も変わりませんでした。

 何のためにあんな苦労をしたのかと落ち込んだそうです。もっと素敵なことが待っているという期待が大きかったため、何も起こらないことに落胆してしまうのです。

 漠然と目標さえ達成すれば山の頂に出て、今まで見えなかった風景が広がっているに違いない。そう考えてしまう人が多いように見えます。

 すると、ただ闇雲に努力することだけが目的に変わり、本来の目的が見えなくなってしまう恐れがあります。