銀行は、あなたの資産を知っている!

 銀行が、リスク商品を売ってくれるのは、投資信託の運用会社や保険会社にとっても大助かりです。何しろ、銀行は大勢の人が利用していて、支店もたくさんあります。

 さらに、あなたがメインバンクとして利用している銀行は、あなたの預金がいくらあるか、毎月、いくらの収入があるかを、口座のデータによって把握できているのです。

 銀行側から見れば、退職金がいくら入ってきたのも知っていますし、定期預金がいつ満期になるのかもお見通し。運用するお金がある人に、ピンポイントでダイレクトメールを出すこともできます。

 つまり、メーカー(運用会社や保険会社)と銀行は、お互いにメリットをもたらす関係といえるでしょう。

金融機関が勧めるのは「売りやすい商品」

 投資に限らず、保険や住宅ローンなど、お金について話すと多くの人がこう言います。「誰かに商品を選んで欲しい」。

 その気持ちはよく分かります。でも、銀行に商品選びを任せてはいけません。

 本当に適した商品を選んでもらうためには、販売担当者の知識と経験が必要。詳細は本に書きましたが、現在、それは期待しにくい状況です。

 もうひとつ認識しておきたいのが、適した商品を選んでもらうには、相談する側の姿勢も問われる、ということです。

 第1回目にも書きましたが、金融商品は数あれど、どれが適しているかは人それぞれで異なります。「現役世代」には適していても「退職世代」には合わない商品もありますし、同じ年齢でも、投資経験や投資できる額によって商品選びが変わってきます。

 そのため、適切なアドバイスを受けるには、自分自身のお金の事情を相手に知ってもらう必要があります。その銀行以外にある資産額や、今後まとまったお金をいつ、いくら使う予定か、毎月、どの位貯蓄に回せるか、といった生活が透けて見えるような「個別事情」は、聞かれないですし、あなた自身も金融機関の販売担当者(ほとんどの場合は初対面)に洗いざらい話すことはないと思います。

 多くの人はお金について手の内を明かすのには抵抗があります。資産額を言ったりしたら、いろんな商品を買わされるのではないかなど、警戒もするでしょう。

 1時間程度話したくらいで、適した商品を勧めてもらうことなどできません。私が多くの人の相談を受けた経験からいっても、それは明らかです。

 では、銀行は何をお勧めるか。それは、「売りやすい商品」です。