あなたがまっさきに身につけるべき「習慣」とは…?

 もしも「ビジネスパーソンが身につけるべき最も重要な財産とは何でしょうか」と問われたら、私は迷わず「学ぶ習慣」と答えます。

 これは私が実感を込めて言うのですが、年月は実に無情に去ってしまうものです。

 年をとればとるほど生活習慣は固定化してしまいます。頭に白いものが混じり始め、身体の無理がきかなくなった後になってあわてたのではもう遅いのです。学ぶという習慣を身につけるなら、1日でも早いに越したことはありません。江戸時代の学者、佐藤一斎もこう書き残しています。

若くして学べば壮にして成すあり
壮にして学べば老いて衰えず
老いて学べば死して朽ちず

何を学んで何になる

 スキルを磨くとか専門的能力を身につけるといいますが、実は専門的能力という面でビジネスパーソンは次の4つのタイプに分かれます。

①一点深掘り型(スペシャリスト)

 1つめは、ちょうど「I」の字のように、ある1つの分野においては誰にも引けをとらない強みがあるタイプ。いわばスペシャリストです。

 もちろん、企業の中には一部、こういう「I型スペシャリスト」が必要とされる分野も存在します。しかし、それはあくまで限られた範囲での貢献にすぎないため、活躍の場は限定的なものになってしまう点に注意が必要です。

 このタイプの人は、とりあえず専門性を身につけているため「専門家」としては尊敬を集めるかもしれませんが、気をつけないと「専門」という言葉の後に「馬」と「鹿」という2頭の動物がついてくることになりかねません。

②幅広浅掘り型(ゼネラリスト)

 第2は、営業、総務、広告宣伝……と幅広く全般的(ゼネラル)に経験や勉強はしたけれど、どれもこれも表面をちょっとかじっただけで何ひとつ深く究めていないという、悪い意味でのゼネラリスト。

 このような人のことを、英語では「Jack of all trades and master of none.(なんでもできて、何もできない人=器用貧乏)」と言います。

 なんでも屋はちょっと下手をすると「なんにも屋」になってしまうから要注意。会社が人員削減をしなければならない状況に陥ったときに、まっさきに退場を申し渡されるのはこういう人だからです。

③幅広一点深掘り型(プロフェッショナル)

 第3のタイプは、何か1つの深い専門性を持っているうえに、ほかの複数の分野についてもそれなりに知識とスキルを身につけているという人。

 ちょうど「T」の文字のように、幅広い視野と、深く掘り下げた1つの特別なスキルを兼ね備えているこのような人は、プロフェッショナルと呼ぶことができます。どこでもメシが食えるという、自分の足で立って歩ける人です。

④幅広二点深掘り型(経営者)

 このタイプは、幅広い経験と知識の裾野を持っているうえに、何か1つの深い専門性を身につけている、それに加えて経営能力とリーダーシップを有しているという人です。経営者として望ましいのはこのタイプです。

 ①~④のうち、どの道を選ぶかはあなた自身ですが、1つ申し添えておくなら、その決断は比較的若いうち、できれば遅くとも30代の間にしておきたい、ということです。「鉄は熱いうちに打て」なのです。

 そこで2つの質問に答えてください。今日のあなたは①~④のどのタイプに属しますか? 将来(3年後、10年後)はどのタイプに? そのためにはいつまでに何をしますか?