日産自動車が電気自動車(EV)「リーフ」の普及を目的として、一風変わった従業員向けプロジェクトを実施している。その名も「リーフアンバサダー(大使)プログラム」。大仰なネーミングではあるが、要するに、従業員自らが「リーフ」の親善大使となって、商品の魅力を世間に伝えていこうというプロジェクトだ。

 まず、従業員がリーフオーナーになれば、数々の“特権”が得られる。

 たとえば、横浜駅から徒歩8分のところにある日産グローバル本社へのクルマ通勤が認められる。通常、役員など幹部社員を除き、従業員の本社への通勤手段は公共交通機関と決まっており、“役員待遇”を味わうことができる。

 具体的には、駐車場の「タイムズ」を展開するパーク24の協力を得て、タイムズ高島駐車場に10台のEV優先スロットを確保して対応している。今後、普通充電器も設置していく予定だ。

 リーフを購入する際にも特別価格が適用される。割引率は明らかにされていないが、「リーフ(Xシリーズ)」の販売価格は、自治体の補助金制度を活用すれば300万円をきる程度。そこから少なくない社員割引がきくので、買い求めやすい金額にはなっているはずだ。

 リーフオーナーになるにはまだ躊躇がある……という従業員には、「気軽に体感プラン」がある。

 本社地区で、従業員が気軽にリーフに試乗できるように地下駐車場に2台のリーフを配備して、常に貸し出しできる状況をつくっている。短時間での貸し出しも可能だが、出張時や得意先回り、自宅への持ち帰りもできるという。

 日産グループの従業員とその家族向けのプログラムもある。全国で展開している日産レンタカーでは、やはり特別割引価格でリーフをレンタルすることができるという。

 2010年12月に、世界初の量産電気自動車として、“鳴り物入り”で新発売された「リーフ」。発売から1年を経て、グローバルな販売台数は2万台を突破した。話題先行でメディアへの露出も多かったこともあり、スタートダッシュはまずまずの滑り出しだと言えそうだ。

 もっとも、真の実力が試されるのは発売2年目のこれから。まずは“身内”にリーフの魅力をしっかりと体感してもらい、リーフの認知度アップにつなげていく構えだ。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 浅島亮子)

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