「手取りを増やす」ためには、税金の仕組みを知ることが早道。新刊『サラリーマンのための「手取り」が増えるワザ65』から、抜粋してそのエッセンスをご紹介します!

退職金の税金を知っておこう

退職金の一時金受取りが有利になるのは、税金の計算方法にあります。

一時金で受け取ると、「退職所得」になります。この退職所得は、非課税枠が大きいのが特徴。退職所得の所得税と住民税は、勤続年数に応じた「非課税枠(退職所得控除額といいます)」があり、その金額までは税金がかからないなど比較的有利な計算式となっています。

具体的には、退職所得控除額は、勤続20年まで年40万円、それ以降は年70万円ずつ積み上がっていきます。たとえば、22歳で大学卒業後、60歳まで38年間勤めると、退職所得控除額は2060万円。この金額までは、税金がかかりません。

もし、非課税枠を超えたとしても、超過分の半分だけに所得税と住民税がかかる仕組みです。

一方、年金受取りをすると「雑所得」という分類になります。退職金の年金受取りや企業年金は、国の年金と合わせて「公的年金等」として税金の計算がされます。「公的年金等控除額」という非課税枠があり、60代前半は年70万円、65歳以降は年120万円まで税金がかかりません。それを超過した分は所得税と住民税がかかります。

退職金受け取り方で、「退職所得」と「雑所得」という違う所得になることを知っておきましょう。

深田晶恵(ふかた・あきえ)ファイナンシャルプランナー(CFP)、(株)生活設計塾クルー取締役。1967年生まれ。外資系電器メーカー勤務を経て96年にFPに転身。現在は、特定の金融機関に属さない独立系FP会社である生活設計塾クルーのメンバーとして、個人向けコンサルティングを行うほか、メディアや講演活動を通じてマネー情報を発信している。20年間で受けた相談は4000件以上、「すぐに実行できるアドバイスを心がける」のをモットーとしている。ダイヤモンドオンライン、日経WOMAN等でマネーコラムを連載中。主な著書に『住宅ローンはこうして借りなさい 改訂6版』『平均寿命83歳!貯金は足りる?定年までにやるべき「お金」のこと』(ダイヤモンド社刊)『共働き夫婦のための「お金の教科書」』(講談社刊)ほか多数。