優秀なエリートには共通点がある。彼らは「真面目に、我慢して、一生懸命」ではなく、「ラクして速く」をモットーに、効率よく結果を出し続けている。まじめさと仕事のパフォーマンスは比例しない。24年間で5万人以上のクビ切りを手伝い、その一方で、6000人を超えるリーダー・幹部社員を選出してきた松本利明氏の新刊、『「ラクして速い」が一番すごい』から、内容の一部を特別公開する(構成:中村明博)
できる人は、何をしているのか?
仕事の勝利の方程式を知るにはどうすればいいか。その仕事をうまくやっている人にコツを聞けばいいのです。
学生時代は、「カンニングはいけません。授業を受け、自分の頭で考えて解きなさい」と教わりましたが、大人は逆です。うまくやっている人から教えてもらえばいいのです。
「この仕事をうまくやるにはどうすればいいのですか?コツを教えてください」
この聞き方では30点です。これでも、「ここをこうしてああして……」といろいろなノウハウを教えてもらうことは可能です。
しかし注意点があります。優秀な人が重要視しているポイントが、差別化のポイントとは限りません。
勝利の方程式は、簡単でシンプルなものであることが多い。本人が無意識でやっていて気づいていないケースも多いのです。ですから、次のように聞けばいいのです。
「普通の人と一番違うポイントは何でしょうか?」
これこそが一番のポイントであることが多いのです。これは、外資系の人事コンサルタントが、リーダー候補者の思考や行動特性を探るときのインタビュー技法の1つです。
優秀な人と普通の人の意識や行動の違いをアンケートなどで集計し、ギャップが大きい項目を研修などで補おうとしても、結果が出ないことが多いのです。
大切なのは、「優秀な人が、普通の人とどこで差をつけているか」。これはアンケートでは見つけにくく、ギャップとしても表れにくいのです。
ある金融機関の窓口業務で優秀な人と普通の人の思考・行動の違いを観察して驚いたことがあります。普通の人はマニュアル通り、非の打ちどころがない模範的な接客をしていました。
一方、優秀なAさんは、マニュアルとは異なり、高級スーツをばっちり着込んだ紳士風の50代のビジネスマンには早々にお帰りいただき、逆にヨレヨレの恰好の60代中頃の女性をていねいに接客。即座に融資額を割り出し、支店長から決裁をもらってきていました。
この方法は「Aさんにしかできないマジック」と言われていましたが、「普通の人とはどう違うのか」をお聞きしたら、意外な言葉が返ってきました。