西條 実は、こうした呪いを解くための装置が、「方法の原理」でもあるんです。

 方法とは、 (1) 特定の状況下で、(2)目的を達成するための手段のことでした。これによって、方法の有効性を常に、状況と目的に照らして検討することが可能になりますから、「これまではこういう状況だったから、この方法が通用したが、これからは状況がこう変わるし、この方法は通用しなくなるから、より有効な方法を探っていかなければ」といった形で議論をすることも可能になります。

――ワンマン社長の場合、実際にはそうした提言をすることすらできなさそうですが(笑)

西條 まあ、そうなんですよね(笑)。『人を助けるすんごい仕組み』にも書きましたが、「本当は絶対こうしたほうがいいのに」と思っていることを言えない雰囲気をトップや上司がまとうこと、これは組織が衰退に向かう条件なんです。ワンマン社長は、やっぱりすごい人が多いですし、圧倒的な業績がありますから、ついそれを楯にして、「俺はずっとこれで成功してきたんだ! 文句があるヤツは出て行け!」と一度でも怒鳴ったりすると、もうこれは一発なんですよ(笑)。だから、思っていることを言えない雰囲気だけはつくってはいけない、と本にも書いていますが。

――うーん、ドラマにありそう(笑)。

西條 学生たちに話を聞くと、現実にもドラマみたいなことはよくあるようです(笑)。

――他にはどんなテーマを?

西條 他には、たとえば、「嫉妬とは何か」とかですね。嫉妬は、抱いてはいけない余計な感情のように思われがちですが、条件が揃えば、誰でもそういう感情が芽生えることはありますし、嫉妬によって組織は足の引っ張り合いになって、前にエネルギーを向けられなくなる、というのはよくあることです。

 しかも、「よし、嫉妬しよう!」と思って嫉妬する人はいなくて、どうしてもそうせざるをえない、という形でやってくる感情なので、制御しにくくて、とても厄介なんです。誰もその正体を教えてくれなくて、ましてや対処方法なんてまったく教えてくれないわけですからね。

 授業では、まず、「嫉妬」を巡る自分の見聞きした経験、あるいは自分が嫉妬したり、されたりといった経験を学生たちにどんどん聞いていくんです。そうすると、たくさん挙がってきます。MBAの学生は優秀な人が多いですから、やっぱりそういうことで困っている人もたくさんいるんですね(笑)。

 嫉妬の事例を聞いていく中で、共通点と似て非なるものとの違いを浮き彫りにしながら、「じゃあ嫉妬が起きる条件って何だと思う?」とか、自分が「嫉妬とは……だと定義するとしたら、それぞれ何と定義する?」といった形で、大事なポイントに迫っていくんですね。

――一方的に教わるより、自分も積極的に参加できて、面白そうですね。

西條 とまあ、そんな形で教えています。学生たちも優秀なので僕もとてもよい刺激を受けますよ。『人を助けるすんごい仕組み』にも、「トラブルを減らすための7か条」を書いていますので、参考にしていただけたらと思います。

――早稲田大学大学院MBA、なんだか私も行ってみたくなりました。ありがとうございました!


『人を助けるすんごい仕組み』刊行記念、緊急セミナーのお知らせ

日  時|2012年3月7日(水)19:00開演(18:30開場 20:30終了予定)
会  場|東京・原宿 ダイヤモンド社9F セミナーホール(東京都渋谷区神宮前6-12-17)
料  金|入場無料(事前登録制)
定  員|60名(先着順)
お問い合わせ先|ダイヤモンド社 書籍編集局 ☎03-5778-7294(担当:中島)
※詳しくは、こちら


「ふんばろう東日本支援プロジェクト」チャリティイベント
『3.11 縁から絆へ~ずっと忘れない』開催のお知らせ

日  時|2012年3月11日(日)14:30開演(14:00開場)
会  場|ザ・ガーデンホール(恵比寿ガーデンプレイス内)
出  演|トーク:西條剛央、宮本亜門 ライブ:大貫妙子、沖仁、cocoon
料  金|3,900円(全席指定・税込)
予  約|サンライズオンライン
チケットぴあ (Pコード:162-044)  0570-02-9999
ローソンチケット(Lコード:78978)  0570-084-003
CNプレイガイド 0570-08-9999
※ホールロビーにて被災地支援に関する展示や物販を行います(13時~19時、入場無料)
※チケットに関するお問い合わせ:サンライズプロモーション東京 0570-00-3337
※イベントの日時・時間については急な変更等ある場合がございます。詳細は各店にお問い合わせください。
※定員になり次第、チケットの発行を終了させていただきます。
なお、当サイトでのチケット完売のご案内は遅れる場合があります。
チケットの残数については上記へお問い合わせください。
残席がわずかとなっておりますので、いますぐお申し込みください。


【関連サイト】
ほぼ日刊イトイ新聞「西條剛央さんのその後とこれから」
ふんばろう東日本支援プロジェクトHP
本で社会を変えよう!チャリティーブックプロジェクト
・1か月にランチ1回分(1000円)からの支援の新しいカタチ「ふんばろうサポータークラブ」
・マンガ・イラストチャリティーオークション


はやくも第3刷決定! 新刊のご案内】
『人を助けるすんごい仕組み~ボランティア経験のない僕が、日本最大級の支援組織をどうつくったのか~』

「あらゆる仕事の場で役に立ってしまう本になったと思う。」――糸井重里
アマゾンの「ほしい物リスト」を援用し、2万4000個の物資を被災地へ届けたり、「重機免許取得プロジェクト」で計200人以上の重機免許取得者を生み出したりと、行政や日本赤十字社もできない支援の仕組みから、1000人超の組織を無給で運営する秘密、トラブルを減らすための7か条まで、ぜんぶ一挙に公開!大反響!糸井重里氏との対談『西條剛央さんの、すんごいアイディア。』も著者視点で新収録!ぜひご一読ください。

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西條剛央(さいじょう・たけお)
早稲田大学大学院(MBA)専任講師(専門は心理学と哲学)。1974年宮城県仙台市生まれ。「ふんばろう東日本支援プロジェクト」代表。
自身が創唱した構造構成主義を用いることで、ボランティア未経験ながら、日本最大級のボランティア・プロジェクトへと成長させる。
遠方からでも参加できる新たな仕組みを作ることで、3万回以上の物資支援や、2万5000世帯以上への家電支援を実現。主著に『構造構成主義とは何か』など。