「ライトニングネットワーク」にも課題が!

 現在のビットコインでは、1秒間のトランザクション処理は約6~7件ですが、「ライトニングネットワーク」上では数百万とも、一説には数十億とも言われるトランザクション処理が可能になり、いわゆる「トランザクション問題」は解決します。

 しかし、実際にそのようなことが可能なのかはまだ実証実験の段階であり、そもそもブロックではなく「ライトニングネットワーク」に記録するようになると、送金手数料の一部はマイナー(採掘者)ではなく開発者が受け取るようになります。
 そうすると、誰もビットコインをマイニング(採掘)しなくなってしまうのではないかという問題があります。

 すなわち、「ライトニングネットワーク」は机上の論理としては素晴らしいのですが、マイナーがマイニングをして新たなブロックを生成することでビットコインが「発行」されるという、現実的な基盤が根本から揺らいでしまう懸念が残されています。

 繰り返しますが、ビットコインというのは、マイナーがいて、彼らが新たなブロックを生成して、そのブロックがチェーンのように繋がるという思想で生まれて、2009年から運用されてきたものです。

 しかも、ビットコインの凄いところは、2009年1月3日に最初のブロック(genesis block)が誕生してから、今まで一度も止まることなく動いてきた実績があることです。

 ビットコインが、よく「デジタルゴールド」と呼ばれ、「価値を保存しておく新しいゴールドになるのではないか」と期待されるのは、この実績、言い換えれば「信頼」が担保されているからです。

 ですから、本稿では技術の深い解説はしませんでしたが、その「信頼」を捨ててまで、またマイナーにとって不利益に働くことが明白な「ライトニングネットワーク」に舵を切れるのかというと、個人的にはクエスチョンマークです。

 一つ言えるのは、現在は「ライトニングネットワーク」は構想の域を出ていないということです。

 ただ、仮に「ライトニングネットワーク」が実現したら、これはとてつもないイノベーションです。