実物通貨と仮想通貨、日常と非日常、ヒトとAIの境界線がどんどんなくなりつつある今、私たちはどうやって生きていけばいいのか?
構想・執筆に2年。「愛」がテーマという注目のエンターテイメント小説『マルチナ、永遠のAI。』が話題を呼んでいる。ビットコイン、ブロックチェーン、ディープラーニング……正確な技術論と、その道の世界的権威の見解をもとに緻密に描いた作品で、SFではない、小説風の解説書という。
『エフエムふくやま』でも、「ページをめくる手が止まらなかった」と紹介された大村氏の特別寄稿をお送りする。
(構成・寺田庸二)

仮想通貨は
権力者に縛られない
民主主義的通貨

 仮想通貨は「トラストレス」な通貨です。
 言い換えれば、「非中央集権型」の通貨です。

 私たちは、日常生活においては、日銀が発行した「円」を使っています(蛇足ですが、硬貨の発行主体は日本政府です)。
 すなわち、「円」の価値は日銀という「権力者」によってコントロールされています。

 日銀の独立性という法的な話は置いておいて、実際には日銀は政府の思惑通りに動くケースもあります。
 政府が「今の円高は好ましくない」と発言し、歩調を合わせて日銀が為替介入をするシーンなどはみなさんも何度も見てきているでしょう。

 すなわち、私たちのお金は日本政府という絶対的な権力者によってコントロールされています。

 本稿執筆時、人気サイト「日本の借金時計」を見ると、2018年3月20日現在、日本の借金は1085兆円に膨らんでいます。

 ここでは、この債務によって国が破綻するとか、世界一の純債権国だから破綻しないという議論はしません。
 ただし、国が1085兆円の借金を抱えていることだけは事実です。

 では、仮に日本政府が現在の1085兆円の債務を一気に返済してしまおうと考えたとします。

 その場合、貨幣の量を現在の1000倍にしてしまえば、日本政府の債務は実質的に約1兆円になるのと同じですので、政府は債務の返済が可能になります。
 そんなバカげたことを日本政府がするはずがないと言う人が大多数でしょうし、実際に私もそう思っています。

 ただし、2018年1月12日のネット版「産経ニュース」を見ると、ベネズエラではインフレ率が2616%になり、国民が食料や医薬品も買えずに餓死者が出ている状態です。

 そこで、もし日本政府が貨幣の量を現在の1000倍にしたと仮定してみましょう。

 また、現在、缶ジュースが120円で、かつ、1ビットコインで購入できるとします。

 すると、1000倍のハイパーインフレが発生したら、缶ジュースは12万円になりますが、それまでと同様に1ビットコインで缶ジュースを買うことができます。

 これが、時の権力者に支配されない非中央集権型の素晴らしさです。