スコール財団が、メディアによる社会変化のレバレッジ(テコの原理)を意識して、社会起業家たちの挑戦の周知やメディアを使った問題解決を支援しているのは、まさにその一例だろう。

 これらの番組で追おうとしていたのは、社会の課題解決という、大きなテーマへの挑戦の「プロセス」である。簡単には解決できない。だが、毎日、1ミリでも、何かに挑戦し、前へ進もうとする力がある。そして、そこからの知見がある。それを、世の中の「知」として、アーカイブとしてメディアが共有する。

 たとえば、NPO法人「フローレンス」が挑戦する、病児保育というテーマ。これは、フローレンスにのみ課された課題ではない。

 フローレンスの挑戦を、ただ彼らの努力の成果を享受するだけでなく、失敗や痛い経験も含めて、同じ立場としてプロセスを共有していく。受け止めたそれぞれの市民や、企業や、行政が、共働きの若い夫婦や子どもを支えていくために、共に考え、それぞれの役割から行動を始める。結果として、若い夫婦をめぐる新たな周辺環境が生まれ、新しいシステムを生みだしていく契機となる。

 これからのメディアは、社会の変化をウォッチする“客観的な”存在であるだけではなく、変化の“主体者”としての側面も持つはずだ。メディアは、間違いなくソーシャル・イノベーションを支える“プレーヤー”のひとりなのだから。


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