仕事圧縮術は、4つの要素でできている

(この会場の中で)残業が多い人いますか?

 何人かいますね。日本のセミナーで同じ質問をすると、ほとんどの人が手を挙げます。

 仕事圧縮術は、日本が知らなかった世界標準の仕事。仕事以外に私生活を大切にしている人も多いですし、業務内で終わらせることに注力しています。

 仕事圧縮術は、4つの要素があります。

1.量をこなす
2.時間を決める
3.型をつくる
4.型からはみ出たモノは自分でやらない

 最初にとことんやっていきます。そのあとに、自分で時間を決めていきます。仕事を減らして型をつくり、最後に自分のできないことを誰かに任せていきます。円錐のかたちを逆さまにしたように、どんどん仕事を減らしていくのです。

 私が当時やっていたのは、優先順位をつけることでした。日々の仕事を優先度高めの対応をし、自分のやらなきゃいけない仕事はきちんとこなしていました。ただ、1日に200通くらいのメールが届いていたこともあり、日々の仕事以外は優先度低めの対応をし、競業がどのようなことやっているのか、会社の状況がどうなっているのかなど、メールで届くレポートは自分の仕事に直接関係なかったので、読んでいませんでした。

 そんな状況だったので、会社の戦略や組織変更の状況もわからないし、有益に感じる情報も把握できていませんでした。今思うことは、最初の3年間、いちばん忙しく働いていたのに、一度もアワードもらっていないんですよね。当時に比べて働いていない今のほうが、アワードをもらっているんです。

すべての仕事を3分で終わらせる仕事圧縮術仕事圧縮術をチームにどう浸透させていくかに関心が集まった

 仕事ってそもそも何なのか? 上司やクライアントへのサービスです。顧客志向がないといけません。マイクロソフトの社内調査では、過去5年間、部門を超えたコラボレーションが2倍に増えています。

 コミュニケーションの問題はよく理解しないといけません。科学的に、人の意見は6割くらいしか伝わらないといわれています。上司から「これ、やっといてよ」と言われて、のちに「これ、違うんだよな~」と言われることが世の中、多いじゃないですか。なぜか、お願いしたほうも正確なイメージをもっていないことが多いんですよね。やり直しが仕事の停滞を生む大きな要因です。

 やり直しをしないためにも、仕事をもらったときに、エンドゴール、いつまでにどういうタイミングで情報共有したほうがいいのか、レイアウトのイメージなど、過去のケースや類似のケースを確認します。ポイントは、見切り発車をしないことです。

 仕事で一番ムダなことは、やり直しがあることです。これを減らしていくにも、最初から、人を巻き込んでいく。関係者、有識者を入れることで抜け漏れをなくしていきます。