産業構造を塗り替える巨大なインパクト

 ブロックチェーンの真価は、国や銀行に代表される中央集権型の権威ではなく、ネットワークの参加者が創造するという分散型であることにある。

 そしてそれ以上に重要なのが、その真価ゆえに、「記録された価値や情報が改ざんやコピーされることなく、誰でもどこでもその価値や情報の受け渡しが可能になる」ということだ。

 このことによってもたらされる変化は、当然のことながら仮想通貨だけではない。

 例えば、契約や個人情報の取り扱いのあり方は大きく変わることになるだろう。土地の登記や医療カルテや、今は役所に出向かなければできないような各種手続きも、いつでもどこでもできるようになるであろう。

 そうなると、例えば、不動産の売買や登記に必要な大量の書類の作成を担っていたような不動産仲介業者は不要となるだろう。

 一方で、トレーサビリティが必要とされる分野にも威力を発揮するだろう。絵画や宝石などの真贋が問われるような流通の現場はもちろん、安全性が重要視される食品流通にも利用されれば、非常に有効である。

 また、音楽ストリーミングなど、違法ダウンロードによって多くの経済的損失を被っているジャンルにも有効だ。ブロックチェーンがあれば、アーティストたちがレコードレーベルを介さずに直接、ロイヤリティの支払いを得ることが可能となる。

 実際、音楽ストリーミング会社のSpotifyは、2017年にブロックチェーン関連のスタートアップ企業Mediachainを買収した。

 このブロックチェーン技術を活用することで、Spotify上で提供される楽曲と、その楽曲の権利者を紐付け、クリエイターに適切なライセンス料を支払うことを目的にしているという。

 楽曲の権利情報が分散型データベースに記録されていれば、これまで彼らを悩ませてきた楽曲の使用権の未払いの問題からも解放されることだろう。

 他にもブロックチェーン技術の応用の範囲は幅広く、先に不動産仲介業者が不要になると述べたように、結果として多くのディスラプションを引き起こすことだろう。

 それは、インターネットが、多くのトラディショナルメディアや小売業、ホテルやタクシーなどといった事業者をディスラプトしてきた以上のインパクトを与えうる。なぜならば、そんなインターネット時代のディスラプターすらもディスラプトする可能性があるからだ。

 例えば、UberやAirbnb。「スマートコントラクト」と呼ばれる契約をプログラム化する仕組みがある。契約の条件確認や履行までの、すべての契約の取引プロセスを自動化することで、決済期間の短縮や不正防止や仲介者を排除することが可能となる。

 そして、この「スマートコントラクト」をブロックチェーン上で利用することで、ユーザー同士が直接取引を行う分散型のサービスが可能となる。

 それが実現した暁には、クルマや部屋を貸したい個人と、それらを借りたい個人は、スマートコントラクトを用意しさえすれば、UberやAirbnbといった中央集権型でかつ多大な手数料を取る存在なしに取引ができるようになる。