仮想通貨が持つ
ディスラプション(破壊)を引き起こす可能性
つまり、通貨という観点では、これまでの中央銀行が発行した通貨を中心とする中央集権的な経済圏に代わり、仮想通貨によって非中央集権的に様々な経済圏をつくることが可能になるということである。
グーテンベルクによる活版印刷の発明により、紙幣が大量に印刷されるようになり、資本主義を形成するきっかけとなったが、ブロックチェーンはそれ以来の大きな「インフォメーション」技術の進化と言える。
ビットコインの基盤技術として登場したブロックチェーンではあるが、通貨として流通させる上では課題も多い。
ブロックチェーンのもとでは、当然ながら従来の中央管理者がいないため、帳簿上の資産や権利の移転などが正当なものであるかを、ネットワーク参加者自身が検証し続ける必要がある。
ビットコインではこれを「マイニング(mining)」と呼ぶが、その演算には多大な電力が必要となる。
それだけの電力確保は将来的に可能か、という問題がある上、その処理スピードについても、現在の集中型のシステムに比べ、特に短時間に大量の処理が集中する場合、多くの時間を要することがありうる。
また、マイニングを行った参加者にはインセンティブを与えることになっているが、このインセンティブをいかに永続的に確保するか、というのにも明確な解決策があるわけではない。
しかし、ビットコインを筆頭とする仮想通貨市場は2017年第2四半期に1000億ドル、第3四半期にはそれを上回る1700億ドルに急成長を遂げた。これは2017年12月時点での日本円の総額8.9兆ドルと比較すると既に2%程度の規模である。
むろん投機によるバブルの様相を呈していることもあり、これが実態を表したものなのか、またこの数字自体が果たして大きいのか小さいのか、私にはわからない。
しかし、個人的にはまだまだ通貨として主流になるイメージは湧かないものの、2018年1月に開催された世界経済フォーラム(ダボス会議)の議題の一つとして仮想通貨が挙げられているように、既に決して無視できない規模にあり、これがディスラプションを引き起こす可能性が高いのは否定できない。