変えなければいけないものと
変えてはいけない守るべきもの

 では、変えるべきものと変えてはいけないもの、守るべきものの基準はどこに置いたらいいのだろう。

「実務面でいえば、競技を熟知し、しっかりとした判断基準を持っている統括団体が判断するべきものだと思いますが、スポーツの面白いところは “ファンの声”“民意”が判断基準を形成していくという点にあります。アメリカは特にそうですが、スポーツは社会の“公共財”として認識されていて、ファンがオンブズマンになり得る。不思議な話ではありますが、スポーツのファンは自分自身が“監視している”という意識がなくても自然と、競技のあり方や選手の人間像、あるべき姿について議論をしたくなってしまうものです。そのファンの議論が、監視の目になり、競技のあり方に影響を与えることがあるのです」

 自然にオンブズマン化するファンの声を活かし、変えるべきところを変えて改革し、守るべきところはしっかり守って歴史を築いていく。制度や方針を決める側が、必要な情報開示を怠らず、ファンともオープンに議論することが重要だと池田氏は語る。

 池田氏が例に出したのは、自身がベイスターズの球団社長を務め、改革に邁進していた時のことだった。

「私がベイスターズの社長をしていた時は、ファンの人にもどんどん意見を出してもらうようにしていましたし、手紙をもらったら必ず目を通して検討するようにしていました。球団改革に役立つ、正しい意見には耳を傾ける必要があると思っていましたし、耳が痛い話でも正当なご意見には自筆で手紙を返すこともありました。スポーツの現場で改革を進める、さらなる発展を目指す時に最も大切なものは、“共感”です。ファンの方の、世の中の“共感”を得るためには、まず競技団体がオープンな議論、コミュニケーションができる環境づくりを意識し、徹底することが重要です」