日本語でも悩むメールがスラスラ書ける!総合商社で磨き抜かれた「生きた英語」とは?
「値下げ要求をスマートに断りたい」「代金の未払いをやんわりと伝えたい」「商品をさりげなく売り込みたい」。あなたならどう書きますか?
三井物産の商社マンとして、約40年間、第一線で活躍し、退職後は慶應義塾大学、早稲田大学のビジネススクールで教鞭をとる定森氏の新刊、『人を動かす英文ビジネスEメールの書き方ー信頼と尊敬を勝ちとる「プロの気くばり」』から、内容の一部を特別公開する。

英文メールで絶対やってはいけない「上から目線」表現とは

意外にやりがちな失敗とは?

 本日は敬辞について、お話しします。メール冒頭の基本形は、「Dear Mr./Ms./Mrs.+ラストネーム」です。

 初めてメールを送る相手や、社内外を問わず「目上」にあたる相手に対しては、この基本形を使いましょう。それに対し相手が、返信メールでこちらに対してファーストネームを使い、メッセージの終わりに自分のファーストネームを使ってきた場合は、次からはファーストネームで呼び合ってもOKです。

 国や地域によっては、すぐにファーストネームを使わない場合も少なくありません。そのような相手であれば、相手がファーストネームを使うまで、「Dear Mr./Ms./Mrs.+ラストネーム」とするほうが無難です。

 敬辞に関して特に注意すべきことは、「Dear Mr./Ms./Mrs.の後にフルネームを書かない」こと。非常に無機質で機械的で事務的な印象を与えてしまいますし、相手によっては「上から目線」と受け止められます。

英文Eメールにおける「san」の意味

 相手がファーストネームで呼ばれたがっているとき、こちらからファーストネームで呼びかけても、「Dear/Hello Sadamori-san,」のように、日本人に対してはラストネームに-san をつけることもあります。この場合、メッセージの終わりに書く自分の名前はラストネームだけでかまいません。

 一般的に、英語では敬辞でMr./Ms./Mrs.のように敬称をつけて呼び合うのはよそよそしい感じが出ます。そのため、「日本人はファーストネームで呼び合うことに慣れていない」ことを熟知している相手は、ラストネームに-sanを使う傾向があります。

 親しい間柄のネイティブ同士のメールのやりとりでは、HelloよりくだけたHiを使い、Hi Mark, Hi Cathy,という敬辞もよく使われます。しかし、「ファーストネームで呼び合うか」「敬称+ラストネームで呼び合うか」「Helloを使うかHiを使うか」は、商談の成否を左右するほど重要な問題ではなく、厳格なグローバル・スタンダードもありません。

 最初はフォーマルに「Mr./Ms./Mrs.+ラストネーム」で始めて、何度かメールをやりとりしながら、当事者間で最も心地よい呼び方を模索しましょう。

参考記事:ネイティブにイエスと言わせる「商社の英語」、日本人の「気くばり」が、武器になる。