私生活まで犠牲にして
打ち込むジュニア指導者たち

 日本でも各競技のトップレベルになる選手は、小学校年代、あるいはそれ以前の幼年期から競技を始めることが多くなった。各地にある公益社団法人日本スポーツ協会認定のスポーツ少年団に入ったり、競技者OBが個人的に開設したジュニアクラブに入るなどして専門の指導を受けるわけだ。

 こうしたクラブの指導者はほとんどがボランティアだ。その競技が好きで後進を育てたいという思いから、私生活の多くを犠牲にして指導に打ち込んでいる。

 この時期の指導は重要な意味を持つ。将来の成長に結びつけるため基礎を徹底的に身につけさせなければならない。といって苦しい練習を選手に課し、競技が嫌いになってしまうようではダメ。競技を続けさせるため練習に楽しさを盛り込み、モチベーションを高めることに腐心する。各競技の底辺拡大を担っているのは、ジュニアクラブの指導者なのだ。

 そこへ才能あふれる子が入ると当然、指導にも熱が入る。トップレベルに育てたいという思いが生まれ、指導者はその選手を気にかけて指導、選手は熱意に応えようとする強い結びつきが生じるわけだ。

 野球やサッカーなどの団体競技は成長するに従って中学、高校、大学と別のチームに所属することになるため、ルートのある学校に入れようとする働きかけはあるにせよ、指導のバトンはスムーズに渡されていく。だが、個人競技の場合は成長しても指導を続けたいという思いが指導者に生まれる。

 選手が成長し進路を決める時、つまり次の段階にレベルアップしようとする時は指導者と選手や親との間にはさまざまな思惑が生じる。選手の側に自らを成長させてくれた指導者を信奉し、どこまでもついて行こうと思うケースもある。今回の宮川選手と速見コーチのような関係だ。一方、より良い環境や評価の高い指導者のところへ行きたいと考える選手もいる。