サッカー界のスーパースター、クリスティアーノ・ロナウド選手のユベントス(イタリア)への移籍は話題をさらったが、欧州経済の先行きは不透明だ Photo:Maurizio Borsari/アフロ

 国際サッカー連盟(FIFA)が、欧州における今夏のサッカー選手移籍状況を先日発表した。

 「ビッグ5」と呼ばれるイングランド(英国)、イタリア、スペイン、フランス、ドイツでは、選手獲得のためにチームが支払った移籍金の総額が42.1億ドルに達した。過去最高だった昨年をさらに6.6%上回り、移籍1件当たりの金額は前年比14.2%増となった。

 これだけを見れば、欧州経済は活況が続いているように感じられる。しかし、米トランプ政権が仕掛けている貿易戦争の打撃もあり、欧州の成長は実際のところ一時の勢いを失ってしまった。

 製造業の活動状況を示すユーロ圏の製造業購買担当者景気指数(PMI、50超が拡大)は、英調査会社IHSマークイットによると、昨年12月に60.6という力強い数値を記録。だが、その後は下落し続け、8月は54.6だった。

 対照的に米国の同月のPMIは、米サプライマネジメント協会(ISM)の発表によると、61.3と元気だ。全米自営業者連盟(NFIB)が発表した「中小企業楽観指数」も35年ぶりの高水準。欧州と米国の景気には、明確な方向性の違いが表れている。

 ただ、ユーロ圏のPMIは減速したが、まだ50以上。欧州中央銀行(ECB)もユーロ圏の内需は当面堅調とみる。9月の定例記者会見でマリオ・ドラギ総裁は、経済成長予想を若干引き下げつつも、量的金融緩和を年末に終了する方針に揺らぎはないと説明した。

 とはいえ、先行きには懸念材料が幾つかある。まずは、イタリアのポピュリズム(大衆迎合主義)政権が10月中旬ごろに公表する財政計画が注目だ。もし、そこで政府債務の膨張につながる歳出拡大が示されると、イタリアの国債金利は跳ね上がる恐れがある。