すべては最初が肝心
私が入社した当時の国鉄は、現場に新人が配属されても、駅長は新入社員への初期教育をまったくしなかった。
その下の助役任せにするか、どうかすると、労働組合の幹部がその初期教育にあたってしまう。
そうすると、労使関係がギクシャクしたままの環境で、新人社員の意識は会社でなく組合のほうへと向かってしまう。
結果として国鉄という組織の末期は、職場規律は整わず、人間関係はいびつで、サービスは劣悪、さらには事故も多いという惨憺(さんたん)たる状況に陥ってしまったのだ。私はこのことについてずっと忸怩(じくじ)たる思いでいた。
国鉄分割民営化がなされ、JR九州が発足して間もなく、私はさっそく駅長たちに「初期教育は買ってでもしろ!」といって回った。
鉄道以外の事業でも、組織の長や現場の長に向かって、対象が社員でもアルバイトでも、最初の教育は、みずからリーダーとして率先してやるようにと指示を出した。
重ねていう。
教育は、最初が肝心である。
その教育はリーダーがするべきである。
これが徹底された組織は規律よく、人間関係も良好で、安全ですぐれたサービスを提供する会社となる。
☆ps.
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