いや、中国はもっと怖い妖怪が並んでいて、「いろいろ開発してや~」とささやいているのだが、確かに若者は多く、かつ実力主義。トライ&エラーのお国柄。
ここのところ、かなり減ったとはいえ、世界中から流れ込む資金。国の指示なら採算度外視。
実際はファンドのお金を使い切るだけ、のスタートアップ企業も多いが、活気があるのは事実である。
ただし、中国で18年暮らす私から見たその実態は、日本で言うような甘いものではない。
中国の鉄則は、ただ一つ。
すなわち、“すべては党が管理する”である。
どんな企業のどんなイノベーションも、ある規模になれば、党の後押しなしには行われていないし、最後は全部、党のものになる。
今の中国がイノベーションを推す理由は後述するが、もちろん経済発展も大きい。しかし並列する大きな理由は、軍事力の強化、人民の管理に有効、つまりは自分たちの独裁維持に役に立つからである。
いいですか。中国ではドローンという空飛ぶ武器の開発も、スマホでピッという金融業務も、党の了承なしに、勝手にはできないのである。
中国のIT企業に
わんさかいる党員
テンセントは深センで生まれ育った、もっとも深センらしい会社といっていい。
初期は、中国の元・国民的SNS「QQ」や、オンラインゲームで伸びた。
今は、10億人が使うウィーチャット(中国版のLINEのようなSNS)と、それに付随したウィーチャット支払いで、中国の“スマホでピッ”市場をアリババと二分している。
2018年4月2日の共産党員ネットの報道によれば、テンセントには約8000人の共産党員がいる。これは社員数の約23%にあたる。