テンセントは採用も党員を優先しており、2017年に就職した1800人の大学生のうち、1200人が党員だった。

 ネットの第一線で、SNSの内容をチェックしている社員の、実に85%が党員である。

 つまり詐欺であるとか、黄色(アダルト)であるとかだが、一番大事なのは反政府発言を消す仕事である。

中国庶民は
習近平のアフリカ援助に反対

 ここ何年か、中国の庶民の間でも反習近平の人は増えた。

 庶民は物価高や、給料200年分などという天文学的数字になった不動産にやっぱり怒っているし、医療保険や老後保障はまだ始まったばかりで大半の人は享受できない。

 なのに「覇権を目指してアフリカに金ばらまくかー」「えーかげんにせー」というわけである。

 一方、SNSやネットに情報を回す方も、政府に見張られていることはよくわかっていて、「消される前に早く見てね」の言葉が添えられていたりする。

 その言葉通りに、1時間ほどで情報が消されたりする。

共産党のジャージーを着たテンセントのQQペンギン党のバッジをつけたテンセントのQQのマスコットのペンギン。写真は共産党員網の(テンセント“ペンギンも党のバッジ”「党建」腾讯:当“企鹅”戴上党徽)記事より引用

 いわゆる陳情や抗議映像も結構あるのだが、こういうのは、政府からすると飛び火するとヤバい。中国は広く、複数の火の手が上がると、消せなくなるのである。

 例えば、北戴河会議であったり、なにか大きな政府のイベントがあるときは、動画アプリからの他の媒体へのリツイートができなくされることも多い。

 こういう動画アプリの会社は、たいていテンセントやアリババが出資している。今や、中国の大IT企業は、投資によって、巨大なITグループ企業を創り上げている。

 つまりトップ企業を押さえれば、間接的に多くのIT企業に党のコントロールが利くのである。

 テンセントのQQのマスコットキャラクターであるペンギンが、共産党のマークの入ったジャージーを着た写真は、なかなかにシュールである。