企業の中の党組織
IT企業に続々誕生
党員が多いのはテンセントだけではない。
北京本社の京東商城約1万3000人。深セン本社のファーウェイは、鳳凰科技の2017年の報道では2007年の時点で早くも1万2000人いて、現在ははっきりしないが、党企業だから全員じゃないの、とジョークを言われるぐらい多く、実は杭州のアリババがまだ比率が低いと言われている。
企業にかかわらず組織の中で、こういう党の影響力や執政能力を増す仕事を、党建(ダンジェン)というのだが、IT企業に続々とその指揮をする党委ができている。
軍背景と言われるファーウェイとZTEには昔からあったが、2008年、アリババの党支部が党委に変わり、2010年、新浪に党委設立。
2011年、テンセント、京東、2013年に網易、2014年に捜狐、2015年に捜狗、小米、楽視網、同程、途牛、2016年にライブ動画の斗魚、タクシーアプリの滴滴出行、2017年にシェア自転車のofo……、とほとんどのIT企業を網羅、という感じだろうか。
党組織自体は工会という労働組合も含めて、中国ではある規模以上の企業には日系含む外資、中国系かかわらず、たいていあるのだが、党のIT企業への管理は年々強まっている。
かつ、それがメディアでアピールされたりする。
ジャック・マーも昔は共産党批判をしていたが、だんだんやらなくなった。
そして共産党の聖地である、延安詣でをする姿が報道されるようになった。これはテンセントや京東のCEOも行って、報道されていた。
中国の“中の人”はこれを、脅しと受け取る。
“歯向かってもムダだからな。もうおまえらのこと、何でも知っているからな”というわけである。
便利にはなったけれど、ふと気づくと、もう逃げられない息苦しさがある。