結局のところ、エリート、留学経験、一般人、知識の有無、年代にかかわらず、当時も今も、一皮剥けば、反日の人はかなりいる。これは「親日」と言われる台湾も、比率が少ないだけで同じである。
今の若者だとたとえ自分は反日でなくても、年上の親族の誰かが強い反日の人だったり。親族が殺されたり空爆にあったり、直接的な被害をうけた話が伝わっている。
全員が外国籍で留学経験のある華僑たちとワインを片手に食事をしていても、ふとしたことで誰かが反日をむき出す。
年齢によっては、反日をアピールするのが“党員の誉れ”みたいな。
また、家の片づけの手伝いをお願いした中国人のお手伝いさんを(あ、ちょっとこき使い過ぎた?)と思った瞬間に、間髪入れず持ち出される“日本鬼子”の話。
かと思うと、羊鍋を食べながら、「じーちゃんに聞いたけど、北京は日本統治時代が一番、治安も良かったんだよ」と言ってくれる北京人たちもいる。
反日だからといっても私個人が嫌いなわけではないし、当たり前だが13億人もいて、いろんな人がいる。でも戦争の歴史がある以上、何かの折に持ち出す人はいる。
それは戦争した国同士が密集している欧州でも、その他でも同じで、慣れるしかない。
2008年、北京オリンピックのころに、取材で秀水街(ニセブランド品販売エリア)の売り子の女の子と話していたら、
「えーっ、日本人。介護とかで人手足りないんでしょ。働きに行ってあげてもいいけど、日本人てこれでしょ!私、殺されないかと心配で……」
まじめな顔で、シャーッと人を斬るマネをされた。
出稼ぎの人々だと、このころでまだこの認識である。
ちなみに、このシャーッと人を斬る日本人は、現在では微信(ウィーチャット)のコメディースタンプになっている。