例えば、一つの会議が終わった後、

「先ほどの会議では、最後に吉田さんが何か言いたそうにしていたけれど、山田さんの強い主張で言葉を飲み込んだのではないだろうか。何が言いたかったのだろうか。意見を求めてあげるべきだっただろうか」

と考えることや、

「さっきの会議で、山口さんは、意見を求めても、『特に、異存はありません』と言っていたけれども、あの口調からすると、本心は、この進め方に批判的な意見を持っているのではないだろうか。後で、どのようにフォローすべきだろうか」

と考えることです。

また、一つの商談が終わった後、

「先ほどの商談では、こちらの提供サービスの説明に対して、あのお客様は、ただ頷いていたけれども、あの表情からすると、説明が分かりにくかったのではないだろうか。たしかに、このサービスの契約は、分かりにくい面があるけれども、もっと分かりやすく説明するには、どうすればよいだろうか」

と考えることや、

「さっきの商談では、こちらが提示した見積書を見て、お客様は、少し眉を曇らせたように見えたけれど、やはり、今回の見積りを見て、予想よりも高いと感じたのではないだろうか。仕様を変えての再見積りを、早急にお送りしておくべきだろうか」

と考えることです。

そして、この「心理推察の技法」を身につけていくと、さらに深い心理まで分かるようになってきます。

例えば、

「先ほどの会議では、松本課長が井上課長の企画案に、理路整然と反対をしていた。たしかに、松本課長の反対の論旨そのものは全く妥当な指摘なのだけれども、どうも、あの表情を見ていると、先月、井上課長の反対で松本課長の企画案が潰されたことへの意趣返しのようなものを感じる」

という心理推察や、

「さっきの企画会議で、木村さんの企画案を、岡本課長が『この企画、面白いじゃないか!』と褒めていたけれども、同期の清水さんの雰囲気を見ていると、木村さんが褒められれば褒められるほど、課長から『清水も、もっと良い企画を考えてこい!』と言われているような心境になっているのではないだろうか」

といった心理推察ができるようになってきます。