2015年には347億円という2001年の株式上場以来、過去最大の赤字額を記録した日本マクドナルド。どん底の状況にあったマクドナルドを、マーケティング本部長(当時)として見事に再生させた立役者の一人が、11月21日に発売されたばかりの新刊『マクドナルド、P&G、ヘンケルで学んだ 圧倒的な成果を生み出す「劇薬」の仕事術』の著者、足立光(@hikaruadachi)氏だ。本連載では、P&Gからブーズアレン、ローランド・ベルガー、ヘンケル、ワールドというキャリアで学んできたことを辿る同作のエッセンスを紹介する。第11回は日本企業と外資系のリーダーの育て方について。
34歳で社長に。
P&Gに8年、外資系コンサルティング会社に7年半。34歳になった私が次に選んだのが、ヘンケルのビューティーケア事業の日本の子会社、ヘンケル ライオン コスメティックス株式会社(現在のヘンケルジャパン株式会社 シュワルツコフ リテール事業部)でした。2004年の春のことです。
しかし、入社直後、数ヵ月で当時のドイツ人社長は会社からいなくなり、私がマネージング・ディレクターとして実質的に会社を運営していくことになりました。
翌年、35歳で社長になったとき、改めて感じたことがありました。それは、世界とのスピード感覚の差と、全体を見ることの重要性です。日本の若者が考えているキャリアのスピードは、世界から見れば圧倒的に遅いのです。
40歳前後と言えば、日本の伝統的大企業では課長職にも就いていない可能性があります。しかし、P&Gでもそうでしたが、ヘンケルでは30代で国を率いるのは普通のことでした。アジア全体を率いていたのは、私と同い年の人物でしたし、驚くべきは当時のヘンケルのグローバルのCEOは着任時、42歳だったのです。
40歳前後で企業のトップを目指してキャリアを積んでいくのと、課長を目指してキャリアを積んでいくのとでは、スピード感に圧倒的な違いがあるのは、言うまでもありません。しかも、世界的なスタンダードは前者です。日本が遅すぎるのです。
だから、人材が育たないし、人材がいない、とグローバル企業からは見えるのです。それは仕方のないことです。日本では、そういう育てられ方をしていないからです。