折しも、12月に生保の業界団体による販売指針の改定が控えていることもあって、金融庁としては当然、実質利回りの表示が新たな指針に明記されるだろうと期待を寄せていたもようだ。

 ところが、業界団体が出してきた指針の改定案は、積立利率は「実質的な利回りとは異なります」と補足で表記するという、何とも姑息な手段だった。

金融庁の憤りは爆発寸前

 これが、金融庁の怒りの導火線に火をつけた。当初予定になかった生保役員たちとの会合を急きょセットし、金融庁幹部が問題意識と改善に向けた考え方について、改めて説明する事態に相成ったというわけだ。

 先の金融庁幹部の問いかけが、そうした経緯から発せられていることからも、言葉の裏にある見直しの圧力がいかに強いかが伝わってくる。

 この実質利回りの表示による販売への影響は決して小さくない。

 銀行窓口などで投信などと比較した際に、投信と同じようなリスク性商品であるにもかかわらず、外貨建て保険は生保側のさまざまなコストが差し引かれるため、実質利回りが多くのケースで見劣りしていることが一目瞭然となるからだ。

 生保にとっては、回復基調にあった外貨建て保険の銀行窓販に冷や水を浴びせる事態にもなり兼ねず、後ろ向きな姿勢になってしまったのだろう。

 一方で、金融庁からすれば「顧客本位の業務運営(FD)」を掲げる中で、実質利回りの表示といった情報提供の充実は、「FDの一丁目一番地」(金融庁首脳)に当たる項目だ。

 そうしたFDど真ん中ともいえる項目においても、業界の論理を持ち込んで抗戦してみせ、片や節税保険では認可の抜け穴をつくようなかたちで商品開発を行い、売り止めになるまで駆け込み販売にいそしむ――。

 一見すると、監督当局と生保による「予定調和」的な対立の構図に映るかもしれないが、今や金融庁の生保に対する憤りと嫌悪感は、爆発寸前だ。そのことに、生保各社は未だ気づいていない。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 中村正毅)