どこに魅力を感じるのか?
デジタルとアナログの記録の違い

五藤:デジタルノートは、並べ替えや仕分けも簡単にできるので、記録した情報をソートして特定の持ち物だけを一覧で見たりすることができます。また、写真を撮れば一瞬で記録を載せるので、デジタルはすごく便利だと感じていますが、アナログノートでログを残す奥野さんは、手で書いたり、貼ったりすること自体に価値を感じているんですよね。

奥野:日頃パソコンを叩いて仕事をしていますよね。そうすると、毎日がデジタルばっかりだから、もう触りたくないっていう感覚もあって、フィジカルな意味で、いつもと違う手の動かし方をしたいんですね。鉛筆をナイフで削ってみたり、クラシックカメラを使ったりするのって、たまにやると楽しいじゃないですか。ああいう感覚です。

五藤:え!? そうなんですか。僕はもう鉛筆は大学時代以来使っていなくて、手書きで書くという行為自体が嫌いなんです(笑)。

奥野:まあ、人によって違うとは思いますが、たまに野外キャンプなんかをすると楽しいですよね。焚き火をたいたり、魚をさばいたりと、あえて手のかかることをしてみるような、「レクリエーション感覚」っていうんでしょうか。

五藤:なるほど。手を動かすこと自体が趣味や息抜きでもあるということですね。

奥野:楽しみ、ですね。例えば旅行に行って、半券やパンフレットなどの資料、撮った写真や、その場で書いたメモなんかがいっぱいできますよね。それをどんなふうに切り抜くか、ノートに貼ってレイアウトするか、どう文章で表現するかと考えたり、実際に貼ったりするのが楽しいんです。

五藤:僕はたぶん奥野さんと真逆で、そういう細かい手作業が苦手なんですよね。ハサミで切るとか糊で貼るとか、できるだけやらないようにしたい(笑)。ご著書でも「空気感が残るのがアナログノートの魅力」とずばり書かれていますが、その辺は僕はまったくこだわっていないんです。

奥野:料理とか工作とかプラモデルとか、何かを作るのってワクワクしませんか? そういう手作業がやっぱり僕は大好きなんですよね。それに、手書きで思っていることを書くと、「俺は絶対これをするんだ!」という思いも強くなりませんか? こういうのをパソコンで入力すると、僕はすごく冷めちゃうんですよね。なにしてんだろ、って気持ちになる。

五藤:僕の中では、手で書いてもパソコンで書いても同じ感覚なんです(笑)。どんな形でも記録を残すことと、それをもう一度見返すことのほうが大切だという意識があるからかもしれません。