「Lemon」史上最速200万ダウンロードは、
九紫として「〇〇」から決別せずして達成不可能?

「Lemon」で米津氏を知った人は、彼のこれまでの作品のテイストをご存じないかもしれませんが、彼がメジャーデビューした2012年に出されたファーストアルバム『diorama』では、曲も歌詞も一般受けしないような作品が多かったと言われます。

 米津氏もファーストアルバムについてのインタビューでは、

「他の人の目線でなく、自分の中での最高のJ-POPを作った」

 と語っているほどで、周囲からの共感よりも、自分のやりたいことを貫いていました。

 歌詞も哲学的なものが多く、一般人からしてみると理解が難しかったのです。
 そのせいで、当時から歌唱力やセンスはあったものの、なかなか売れず、もどかしい思いをしたようです。

 しかし、ここから、彼の九紫としての良さが発揮されることになります。

 九紫の特性のひとつに「執着から離れる」というのがあります。

 これは、九紫の特性である「離為火(りいか)」という気質が影響しているのですが、気質を磨いている九紫人は、芸術的なものにこだわることはあれども、それが時代にふさわしくなかったり、今の自分に必要なものではなかったりすることを悟ると柔軟に方向転換します。

 米津氏も例外ではなく、「売れなかったこと」を踏まえて、自己満足ということから離れて、もっと大衆に受け入れてもらえる曲作りをするようになったのです。

 気になった方は聞いてほしいのですが、このアルバム以降の彼の曲の歌詞は、以前に比べるとだいぶ理解しやすくなっています。

 こうした執着から離れた結果、東京メトロのCMでも使われた「アイネクライネ」、アニメ映画とのタイアップで使われた「打上花火」、今回の「Lemon」と、どんどん大衆に受け入れられ、ついに、今の地位まで上り詰めたのです。

 九紫ならではの、「執着から離れる気概」こそが、今の彼を作り上げたと言っても過言ではないと、私は考えています。

 ちなみに、彼は、2017年、自身のツイッターでこんなことを言っていました。

「何かを手に入れる為には何かを捨てなきゃいけない。
 昔のひとが言った「死守せよ、だが軽やかに手放せ」という言葉に共感する。
 停滞は衰退とほぼ同じこと。
 なんとなくこのままでもいいとぼんやりしてる人より、より新しいものを探してる人の方が好きだ」

 まさに、執着しないことで、どんどん新しい未来の可能性をつかんで上昇していく、九紫らしいですね。