このVTRは、「現代の常識を持ってしては、見ないでください」、「むしろ、現代の常識を相対化することが狙いの1つです」ということを冒頭でお伝えしたのです。
そうすれば、「常識が崩壊するってどういうことだろう?」と、ぐっと興味を持ってVTRを観てもらえるでしょう。「不倫」の価値判断でなく、あらゆる物事の価値判断の方法論に関して問題提起をするVTRだ、という「目線」を持ってもらおうという狙いもありました。
さて、この「茨城のリアル裏昭和」の話をはじめる直前、
ここから先は従来の常識が崩壊する可能性があります。
注意してお読みください。
と、目線をつけておきました。
少しだけ、興味をひかれはしなかったでしょうか。
このように「目線」を提示することは、VTRの価値内容そのものの魅力をぐっと増すことに寄与します。そして、「冒頭」でぐっと興味を惹きつける効果もあります。これは、取材の時にも、編集の時にも、常に考えるべき技術です。
それはテレビの場合、テロップや、サイドと呼ばれる画面の上に出ている文字。
Web記事や雑誌や書籍なら、見出しや、書き出し、目次。
プレゼン資料なら、ページごとのタイトル。
営業なら、トークの導入部、ということになると思います。
あくまで、この目線は毎回なくてはいけないわけではありません。毎回あると、ワクワク感も消えてしまいますし、何よりおしつけがましく見えてしまいます。
しかし、「ここぞ」という大一番や、VTRの魅力が目線付けにより劇的にアップする場合、つまり「魅力がわかりづらいテーマである場合」や、VTRの内容が目線付けすることで正しく見られる場合、つまり「魅力が誤解されそうな場合」は、強力な武器となる技術です。
目線をしっかりつけられるか否かが、「アタマで興味を持たせられるか否か」の命運を握っています。