普段、仕入業者や取引業者には、どのように接していますか。

「もっと安く!」「もっといい条件で!」と駆け引きを行っているはずです。まさしく、それが交渉です。

 相手が銀行だからといって、態度を変える必要はありません。ほかの業者と同じように接するだけです。銀行に対する控えめな姿勢は、必ず銀行に見抜かれて、銀行の望む条件で言いくるめられてしまうでしょう。

 考えてもみてください。今なぜ、こんなにも低金利なのでしょうか。

 大きな転機は、第2次安倍政権が発足した2012年です。デフレからの脱却が、安倍政権の掲げたスローガンでした。その際、「アベノミクス」という3本の矢が放たれました。その1本が「金融緩和」です。

 お金を市中にどんどん流し込めば、企業は設備投資をどんどんして稼ぎ、その儲けを従業員の給与に反映させ、一般消費にお金が流れ込んでデフレから脱却できる、と考えたのです。

 しかし、その思惑どおりにはなりませんでした。デフレは続いています。銀行にはお金が余り、融資先をライバル銀行と奪い合っているのです。

 その結果、借入金利は低くなってしまいました。銀行を取り巻く環境は、1990年代と比べると、180度変わっています。しかし、そのことに気づいていない経営者が実に多いのです。