「もうマンションを買ってもいいかな。でも損はしたくないし、ローンも怖い」。
そんなあなたが買うべきは、「60m²前後」×「駅徒歩7分以内」×「2001年以降完成」のマンションしかありません。

本連載の書き手は、「不動産ひと筋30年! 12000人と面談し、成約件数は6000件以上」という圧倒的なキャリアを持つ後藤一仁氏。不動産仲介会社の“現役”社長です。「不動産を通じて、1人でも多くの人に幸せになってほしい」という願いが込められた『マンションを買うなら60m²にしなさい』の著者でもあります。「損をしない、戦略的なマンション選び」を語ってもらいます。

マンションの「安すぎる手付金」が招く悲劇

手付金は安易に「安く」してはいけません!

 手付金は、売買契約締結時に買主が売主にいったん預けて、後日、売買代金を支払う際に売主から買主へ返還するものです。

 しかし実際には、預かっている手付金をいちいち返還するのは面倒なので、売買契約書に「手付金は、残代金支払いのときに売買代金の一部として充当する」としていることが多いです。

 実際のお金の流れは、売買契約時に代金の一部として手付金を支払い、物件の引き渡しを受けるときに、物件価格から手付金を差し引いた残りの金額を払うイメージです。

 マンション購入時、物件代金の他にさらに別途「手付金」を用意しなければならないと勘違いしている人がいますが、そのようなことはありません。

 手付金は、厳密には3種類あります。

(1)解約手付
 買主は支払い済の手付金を放棄することで、また売主は手付金を買主に倍にして返すことで売買契約を解除することができる

(2)違約手付
 買主と売主のいずれかに契約違反(債務不履行)があった場合の「違約金」

(3)証約手付
 買主が売主に対象不動産を購入する意思があることを示す

 日本の不動産売買契約(実際の取引)では、解約手付として授受することが多いです。

手付金の額は少なければ少ないほど有利なのか?

 まれに手付金の額をかなり低くして、購入申込をする人がいます。しかし、手付金の額をむやみに低く申し出るとマイナスになることがありますので注意しましょう。手付金は、中古マンションのように個人と個人の一般的な売買の場合、売買代金の5~10%が目安として適切で、高すぎても低すぎてもあまりよくありません。