「YNF-01」の細部。後輪それぞれに電動モータを装備
「YNF-01」の細部。後輪それぞれに電動モータを装備 Photo by Kenji Momota

「コンセプトモデルなので、正式にはリリースしていません。ハンドル形電動車いすとしては、JIS(日本工業規格)9208に対応しています。そのため(平坦地での)最高速度は時速6km、走行できる斜度は10度です。駆動方式については、後輪それぞれにホイールインモータを装着しています。量産に向けたバッテリーの種類や電池容量については今後、検討します」

――では、きょうの本題に移りますが、 なぜ、このタイミングで量産を目指すコンセプトモデルを発表したのですか?

「ご質問の、このタイミングという観点では、我々として2つの側面があります。まずは、製品を完全に完成させる前に、ヤマハとして取り組んでいることを(世間に)知っていただくことで、車両開発と街づくりを共に議論し共同で開発できうるパートナーを探したかった。コンセプトモデルがあることで、現実的な期待感を持ってもらい、リアルなフィードバックをいただき、価格面などの真の需要がわかるはずだと考えました」

――その一方、ヤマハは、一般的な車いすにモータを取り付けるかたちの簡易型電動車いす市場で圧倒的なシェアを誇っています。

簡易型電動車いす、農薬散布用ラジコンヘリなど、各種の事業を展開
簡易型電動車いす、農薬散布用ラジコンヘリなど、各種の事業を展開 Photo by Kenji Momota

「はい、もうひとつの側面が、そうした約20年間に渡り開発してきた電動車いす事業で、なぜハンドル形に参入するのか、という視点です。背景にあるのは、高齢化社会では世界のトップランナーである日本で、高齢者の免許返納や交通事故の問題などが取り沙汰されているなか、ハンドル形電動車いすで走行中に田んぼ落ちた、線路入ってしまったなどの社会課題が増加しています。

 ところが、ハンドル形電動車いすは、過去20年間で機能性やデザインなど、車両はあまり進化していません。そこに、新しい事業領域としてチャレンジしたいと考えました。現在、日本のハンドル形電動車いす市場は年間約1万5000台で、スズキやホンダなどの大手メーカーのほか、中小合わせて10社近くが混在しています。弊社はそこに(イメージとして)11社目として参入するのではなく、数千万人の(65歳以上の)高齢者に向けた新しい乗り物を提供したいと考えています」