財務省が狙うデジタル課税

 一方、公取委の一連の動きを静かに見守る巨大官庁がある。財務省だ。ある幹部は「調査は極めて正しい決断だ」と期待を込める。

 公取委の目的はあくまで取引実態の把握だが、財務省には別の思惑がある。デジタル課税の導入だ。前述の通りGAFAは世界中で集めたデータで莫大な利益を上げているが、そのデータを吸い上げる国々で十分な税金を納めているわけではない。伝統的な税制では、その国に本社や工場など恒久的施設を持たない企業には原則、法人税を課税できないからだ。

 プラットフォーマーへの課税は、各国が頭を悩ませる課題だ。

 経済協力開発機構(OECD)は多国籍企業の課税逃れを防ぐための「BEPS(税源浸食と利益移転)プロジェクト」を2012年に立ち上げ、国際的な議論を進めてはいる。だが必ずしも各国の足並みがそろっているわけではない。IT企業を多く抱える米国や中国は慎重姿勢を崩さず、逆に独自のデジタル課税導入を決めた英国のような国もある。

 そうした中、デジタル課税をめぐる議論で今後焦点となりそうなのが、検索エンジンやSNSなどの利用者の貢献をどう評価するかだ。OECDでは、利用者の積極的な参加により生じた利益に対する課税権を、利用者の所在地国に配分する案が検討されている。

 この考え方は、ネット検索利用者の個人データを「財」と見なす公取委の解釈とも通底する。財務官僚は「伝統的な外形標準課税に近いテーマだが、デジタルは外形が分からないことが根本的な問題だ。その意味で公取委が今回、プラットフォームビジネスの実態にどこまで切り込めるか注視している」と話す。

 日本の当局には、このままGAFAによるデータ独占を放置すれば国内産業が地盤沈下するという危機感もある。GAFAの壁にどこまで挑めるか。“人類の知恵比べ”ともいえる壮大な攻防戦の幕が開けた。