その流動性を測る物差しの一つに、発行済み株式数と株価を掛けて算出される株式時価総額がある。株価が同水準なら発行済み株式数が多いほど、つまり流動性が大きいほど時価総額は高くなる。

 株価が高い場合でも、その分、取引できる最低単位株数を小さくするケースは多い。例えば、株価が1000円で取引単位が1000株ならば、最低購入金額は100万円。株価が1万円で、取引単位が100株ならば、購入に必要な最低金額は同じ100万円になる。よって、取引単位ベースでの流動性はやはり時価総額で測ることができる。

高配当利回り銘柄は
自己資本比率の高いものに絞るべし

 そこで本誌は、独立系リサーチ会社の智剣・Oskarグループの大川智洋氏などのアドバイスを受けて、個人投資家向けに三つの銘柄リストを作成した。最初の二つの対象となる銘柄は、時価総額1000億円未満の企業群だ。

 一つ目は、配当利回りに着目したリスト。超低金利が長期間続いており、銀行預金のような確定利付き商品の利回りはほぼゼロに等しい。一方、東証1部上場株式の予想配当利回りの平均は約2%で、3%台や4%台の配当利回りの株も少なくない。価格変動リスクがあるため一概に比較はできないが、魅力的な利回りではある。

 配当は当該企業の業績が下降したり、財務状態が悪化したりといった事態になれば減少し、場合によってはゼロになってしまう。そのリスクを担保するために、自己資本比率を基準に銘柄を絞った。

 自己資本比率が高い会社は多くの場合、過去の利益の蓄積があるために自己資本が積み上がっている。そういう会社は業績が悪化したとしても、すぐさま会社の存続に関わるような状況には陥りにくい。また、利益の蓄積は配当を続ける原資にもなる。