“ピエロ役”を演じたメイ首相
着地点を考えていた?
フィナンシャル・タイムズのマーチン・ウルフ記者は25日付の「Brexit:メイ首相の忌まわしき賭け」という記事で、「国民投票時に流布していた幻想」についてこう書いている。
「EUから離脱しても、『EU加盟時の利益のほとんどを維持することは容易である』とか、『世界のEU以外の国々と素晴らしい条約を結ぶことも簡単にできる』とか、『すぐ近くにある巨大な市場への優先的なアクセスは失われるが、他国との素晴らしい条約締結で簡単に埋め合わせができる』というのは幻想」
このことは、国民投票の時から分かっていた。しかし、国民の憤まんが扇動の中で、離脱の幻想になびいていった。
3年かけて頭を冷やし、やり直しをこれからするというわけだ。
再度の国民投票で「残留」が決まれば、これまでの騒ぎは何だったのか、ということだ。
「EUを出る」とたんかを切り、加盟諸国を混乱させた。元のさやに戻るのは「白旗」を掲げるようなものである。
国民投票の前に総選挙、という議論も出るだろう。議会や首相が機能しないなら、議員と首相を代えろ、というわけだ。政治責任が問われるだろう。
こうしたこともメイ首相は覚悟していると思う。
ボロクソにされながら、着地点を「国民投票」に置きピエロを演じていたのかもしれない。
「ブレグジット騒ぎ」はいよいよ終幕を迎える。
(デモクラシータイムス同人・元朝日新聞編集委員 山田厚史)