ポジティブに動いていると、周りがポジティブな人で溢れてくる

がんになった事実は変えられないから「自分の捉え方」を変える<br />【鈴木美穂×石山アンジュ】石山アンジュ(いしやま・あんじゅ)
内閣官房シェアリングエコノミー伝道師。一般社団法人シェアリングエコノミー協会 事務局長
1989年生まれ。都内シェアハウス在住、実家もシェアハウスを経営。「シェア(共有)」の概念に親しみながら育つ。2012年国際基督教大学(ICU)卒。新卒で(株)リクルート入社、その後(株)クラウドワークス経営企画室を経て現職。 「シェアガール」の肩書でシェアリングエコノミーを通じた新しいライフスタイルを提案する活動を行うほか、政府と民間のパイプ役として規制緩和や政策推進にも従事。総務省地域情報化アドバイザー、厚生労働省「シェアリングエコノミーが雇用・労働に与える影響に関する研究会」構成委員、経済産業省「シェアリングエコノミーにおける経済活動の統計調査による把握に関する研究会」委員なども務める。2018年米国メディア「Shareable」にて世界のスーパーシェアラー日本代表に選出。ほかNewsPicks「WEEKLY OCHIAI」レギュラーMCを務めるなど、幅広く活動。

石山 美穂さんならではの「社会の捉え方」もすごく心に残りました。がんになって、辛い闘病を経験して…今の社会をすごく悲観的に捉えることも多分できただろうに、社会を温かい目で見て前向きに捉えようとしているのが、すごくピュアで素晴らしいなと思ったんです。最近、物事をすぐ悲観的に捉える若者がすごく多いなと感じていたところだったので…。

鈴木 何かうまくいかなかったとき、悲観的に捉える若い人って多いですよね。

石山 何もかも社会のせいにするという「他責」思考の傾向が、最近特に強いなと思っています。…ちょっと抽象的な質問ですが、美穂さんの「世の中の見方」を教えてもらえないでしょうか?

鈴木 私の母が「笑って過ごすのも泣いて過ごすのも一緒。だったら笑っていよう」という考え方なのもあって、この世に生きているからには楽しまなきゃ、という思いがとても強いんです。厭世的に世の中を見るよりも、この世界を少しでも好きでいたいし、好きじゃないところがあったら好きになれるような社会にしていったほうがいい。

石山 めっちゃポジティブ!

鈴木 だって、自分ががんになった事実は変えられないし、この社会に生きていることも変えられない。周りが変えられないのだったら、自分の捉え方を変えるしかないし、捉え方を変えれば、いろいろなものが幸せに感じられるようになる。それって自分自身を救うためでもあるんですけどね。
 それに、アンジュさんも同じだと思うけれど、ポジティブに動いていると、周りがポジティブな人で溢れてくる。

石山 わかります!…このあたりも共感ポイントだなあ。全ては自分次第であり、自分の捉え方次第で自分自身も幸せになれるし、それが周りに伝わってポジティブな人が集まってくる…みたいな考え方。

鈴木 どんなにもがいても自分の努力ではどうにもならないこともあると知り、「この自分で生きていくしかない」と腹落ちすると、もう…。

石山 …もう怖いものなんてない?(笑)

鈴木 そう。この「自分」で、いかに幸せに生きていくか?という思考になるんですよね。そして、自分が幸せになるためには自分の周りも幸せでいてほしいし、自分たちを取り巻くこの社会も幸せになってほしいと思える。
 本の中でも紹介したのですが、私の好きな言葉に「人はそれぞれ事情を抱え、平然と生きている」という伊集院静さんの言葉があります。表面上は元気そうに見えていても、みんな本当にいろいろな事情を抱えていて、大人になればなるほど何の事情のない人なんていない。そういう「事情を抱えた大人」たちがみんな少しでも幸せを感じられる世の中になるといいなあって、本気で思っています。

石山 いい言葉ですね。

鈴木 そして、「自分は孤独じゃない」と感じられることがとても大事だと思っています。私自身、がんを告知されてから「なんで私だけが」という孤独の中にいましたが、周りの人とのつながりにどれほど助けられたか。